幼児教育・保育の無償化に伴い公費を多く受け取ろうと、全国の私立幼稚園や認可外保育施設で保育料を引き上げる動きがあるとして、国が注意を呼び掛けている。国の上限付き補助の範囲内であれば、保護者の費用負担がないことが背景にあり、県内でも同様の傾向が表面化。厚生労働省は都道府県などに対し、「便乗値上げ」する施設の事実確認と必要に応じ指導するよう求める通知を出している。(学芸部・伊禮由紀子)

 本島内の私立幼稚園に4歳の息子を通わせる女性(41)は、園側が提示した保育料の改定に首をかしげる。これまで月約1万6千円だった保育料が、無償化が始まる10月から2万3千円になるという。

 保護者向けの説明会で、園側は料金改定について「今までより保護者の負担は減る」と話し、値上げの理由については「保育士の人員確保や処遇改善、施設運営に充てる」と説明したという。女性の場合、保育料にバス送迎や給食費などを含めた負担額は、トータルで月約2万7千円から約1万1千円に減るものの「なんか思ってたのと違う」と釈然としない。

 無償化で一部の幼稚園は園児1人当たり月2万5700円まで国から補助があるため、保育料に関して実質の保護者負担はゼロ。保育料を独自で決められる私立幼稚園や認可外園では、値上げにより上限額の範囲で国の補助を多く受け取れることになる。

 認可外園では原則3〜5歳児は月3万7千円まで、住民税非課税世帯の0〜2歳児は月4万2千円まで国から補助される仕組みだ。

 県内のある認可外園では、2万円代の保育料を約1万円値上げした。園によると少子化の影響もあり、年々園児が減少していることに加え、今年は無償化を理由に認可保育所や幼稚園に移った園児も多く昨年に比べ10人減ったという。

 園長は「園児が減り、このタイミングで保育料を上げなければ経営はかなり厳しい」と吐露する。支出の約8割を占める人件費に保育料の値上げ分を充てたいと考えている。

 こうした状況がある一方、無償化に当たって「便乗値上げ」を制限する国の決まりはなく、県内の自治体からは「質の向上を伴わない保育料の値上げが行われないよう通知しているが、実際に質の向上の有無を確認するのは困難」(うるま市)といった制度の不備を指摘する声もある。

 浦添市も認可外園に対し「質の向上を伴わない保育料の値上げは認められない」として、「利用料を値上げする際には、理由や内訳を施設から保護者に説明する必要がある」と指導したという。

 認可外園の公金使途の基準について「国の責任で明確な基準を設定してほしい」(南風原町)との声もあった。