伝統野菜など在来作物の種を守り次世代につなごうと、那覇市久茂地のブックカフェ&ホール「ゆかるひ」が10月から、「シードライブラリー」の取り組みを本格化している。無料で種を貸し出し作物を育ててもらい、採種した種を返してもらう仕組み。オーナーの屋嘉道子さん(67)は「災害による絶滅リスクが減らせるし、家庭で種の成長を見守ることで命の不思議と素晴らしさを感じられる」と話し、利用を呼び掛ける。

貸し出す種が並ぶファイルを手に「シードライブラリー」の利用を呼び掛ける屋嘉道子さん=26日、那覇市久茂地・ブックカフェ&ホール「ゆかるひ」

 シードライブラリーは在来の種を自家採種・保全し次世代につなぐ「シードバンク」の一環。自然災害などの被災リスクを分散させて作物の種子の絶滅を防ぐ狙いで、消失するような万が一の際に栽培再開の機会を提供できるという。

 屋嘉さんは2016年10月に店をオープン。基地問題から文化・芸術まで県産本を中心に約千冊を貸し出しており、今年6月に種を守る活動に携わる知人から「本を貸し出しているなら種も貸し出してみれば」と声を掛けられ、取り組む準備を始めた。

 貸し出す種は、自然栽培や無農薬栽培に取り組んでいる県内農家らの提供を受けたもの。島大根や長命草、ゴーヤー、ヘチマなど30種からスタートして扱う種を徐々に広げる考え。利用は無料だが、返却時は借りた量に「プラスアルファ」してもらう約束。「ライブラリー」の一角では、育て方や調理法などの関連本もそろえる計画だ。屋嘉さんは「種はそれぞれ個性があり、自然が多様性に満ちていることも教えてくれる。私たちの食を子どもたちにつないでほしい」と話している。

 店は火曜日と水曜日が定休。問い合わせは、電話098(860)3270。(社会部・新垣玲央)