東京から南へ1950キロ。八重山高校(石垣市)の生徒たちは毎日、ある言葉に迎えられて登校する。「人の価値は生まれた場所によって決まるものではない。いかに努力し自分を磨くかによって決まるものである」

▼校庭に立つ銅像に、元早稲田大学総長で地元出身の大濱信泉さんの遺訓が刻まれている。島ちゃび(離島苦)に負けず、人生を切り開いてほしい。先達の励ましが生徒らの背中を押す

▼身を起こすための関門の一つである大学入試で、住んでいる地域や家庭の経済状況によって不利になるとしたら、大濱さんなら何と言うだろう

▼2020年度から始まる大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入を巡り、延期を望む声が上がる。試験日や会場は都市部が多くなるとみられ、離島やへき地は受験機会で格差が生じかねないからだ

▼各検定試験の詳細は未確定で、試験を活用するか決まっていない大学は8月時点で約3割。その半面、試験の一つ「英検」の予約申し込みは始まった。受験生側が困惑するのも無理はない

▼格差の問題は、5年前の中教審答申で既に課題に挙がっていた。解決できずにきた政府が「初年度は精度向上期間」(萩生田光一文部科学相)と言うのは開き直りでしかない。新制度の船出は為政者のメンツではなく、受験者本位であってほしい。(西江昭吾)