■国からの予算突出せず

 「財政的に厳しい県もある中で、沖縄はうらやましがられている」。昨年8月、2015年度の沖縄振興予算の概算要求額について当時、内閣府副大臣だった後藤田正純氏の発言だ。振興予算が沖縄への過剰な優遇とも取れる内容だった。果たしてそうなのか。

 国から地方への財政移転の主なものに、国庫支出金と地方交付税がある。

 沖縄県のまとめによると、12年決算ベース(東日本大震災被災地の岩手、宮城、福島の3県は除く)では、沖縄県への国庫支出金は総額3155億円で全国11位、地方交付税は3678億円で15位。国庫支出金と地方交付税の合計額では同17位となっている。

 人口1人当たりでみると、国庫支出金は22万4千円で全国トップだが、地方交付税は26万1千円で同16位。合計額では全国6位で、1位の県の7割程度。本土復帰の1972年以降、国からの財政移転(国庫支出金と地方交付税の合計額)で沖縄は全国1位になったことはなく、国からの予算投入が突出しているとの指摘は当たらない。

 また、2010年度の県民経済計算でみると、沖縄の人口1人当たりの公的支出額は100万4800円で全国14位。全国トップの約7割だ。