中国から来た冊封使を楽しませた歴史的場面を共有できたような思いになった。組踊の創始者・玉城朝薫によって1719年に初演された舞台がよみがえった。上演300年の節目に、国立劇場おきなわが初の野外公演として実施した

▼代替わりの新しい琉球国王を任命する冊封使をもてなした宴。王府が首里城内に特設した舞台を最新の研究を基に再現し、劇場隣の公園に設置した

▼まずは新国王の就任を祝う御冠船踊(おかんせんおどり)が披露された。夜空に月が浮かぶころ、初日の4日に組まれた朝薫作の「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」が始まった。演じる立方の唱えが響き渡り、野外の会場と一体となった

▼立方らは、すべて楽屋と舞台を結ぶ通路「橋掛(はしがか)り」を通って入退場した。地謡も舞台から見える位置での演奏で、組踊が生み出された当時の素朴さや清廉さを感じさせた。かえって佳境で登場する鬼女の存在感につながるようでもあった

▼記録を基に150年前の琉球のからくり仕掛け花火も復元。暗闇の中、鮮やかに散る火花に会場から歓声が上がった

▼組踊は、琉球王国の消滅や沖縄戦での壊滅的な被害などの危機的状況でも、先人が脈々と伝えてきた県民の財産。国の重要無形文化財であり、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている。節目の年に改めて舞台や歴史に触れ、重要性を広く県民で共有したい。(内間健)