大弦小弦

[大弦小弦]テレビに力を 続く闘い

2019年10月7日 08:02

 年賀状発売に、特産品ゆうパックの出荷式。郵便局が取材を依頼する主なイベントにはテレビ局のカメラが勢ぞろいする。「免許事業だから。総務省に気を悪くされたら更新の時に困る」とある記者は明かす

▼前身の郵政省は、郵政事業と放送免許の両方を担当していた。その後民営化で切り離された郵政はもう関係ないのでは、と聞くと「しがらみは残っている」という答え

▼日本郵政の鈴木康雄上級副社長は、そのしがらみを象徴する存在だ。総務省事務方トップの事務次官経験者。お年寄りを食い物にするような保険販売の不正をNHKが報道すると、自身の経歴をちらつかせる文書で圧力をかけた

▼上司である社長が不正を謝罪した今でも「暴力団と一緒」「ばかじゃねぇの」などとNHK攻撃を続ける。倒錯した言動は、昔握った強大な免許権限の手触りから来るのだろう。そして今の総務相は高市早苗氏。「政治的公平」がなければ電波停止と発言した人物の再登板である

▼NHKの現場が郵政の闇を暴く番組を作るには覚悟が必要だったはずだ。努力は実り、被害者の救済も始まる

▼テレビジャーナリズムの力をもっと解き放つには、国が直接関与できない免許の仕組みが必要だ。実は敗戦直後は独立委員会が存在したが、2年で解体された。介入は綿々と続く。闘いも続く。(阿部岳

ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実
阿部 岳
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