果たして、これまでのように支援を受けることができるのか。

 来年の通常国会での法案改正を目指し、政府内で介護保険見直しに向けた議論が進んでいる。並ぶのは利用者の負担を引き上げるいくつもの項目だ。

 3年に1度実施している制度改正で、厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の部会は、自己負担2割の対象者拡大▽ケアプラン作成の有料化▽自己負担の月額上限引き上げ-などを論点に挙げている。社会保障費を抑制するため、年末までに結論を出すという。

 65歳以上の全ての高齢者を対象に2000年にスタートした介護保険は、年収に関係なく1割負担でサービスが受けられ、「介護の社会化」に貢献してきた。

 だが15年に年収280万円以上の人を対象に2割負担が導入され、18年に340万円以上の人は3割に引き上げられた。

 財務省などは2割負担を原則とするよう求めており、今度の改正で年収要件を引き下げ、2割負担の対象が広がる可能性がある。

 ただ既に2割に引き上げられた人のうち、3・8%がサービス利用を減らしたり、中止したりしたことが同省の調査で分かっている。「利用控え」の割合は、1割に据え置かれた人の3倍に上った。

 例えば月2万円の負担が4万円に跳ね上がれば、サービスをためらう人が間違いなく増えるだろう。支援が受けられず重症化しないか心配だ。

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 ケアプラン作成の有料化も焦点の一つである。

 ケアプランはサービスに詳しいケアマネジャーに依頼するのが一般的で、誰もが公平にサービスを受けられるよう現在は全て保険からの給付で賄われている。

 仮に1割負担となった場合、高い人で月に1400円ほど支払うことになる。毎月のことであり決して小さくない額だ。

 月ごとの自己負担額に上限を設ける「高額介護サービス費」の引き上げも検討されている。

 住民税課税世帯なら収入に関係なく4万4400円の現行から、年収約770万円以上の世帯は9万3千円、約1160万円以上は14万100円に増やす方針だ。

 比較的余裕がある層とはいえ、税金などを引かれた後、月5万円から10万円近い支出増は家計へ影響を及ぼす。十分な調査と説明を求めたい。

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 18年度の介護保険給付費は10・7兆円で制度開始時の3倍に増加した。団塊世代全員が75歳以上となる25年度は15兆円を超える見込みだ。

 高齢化の進展に伴う社会保障費の伸びを抑える狙いがあることは理解するものの、利用者の負担が限界に近づいているのも事実である。

 老後資金2千万円問題などで公的年金制度への不安が高まっている。消費税も10%にアップされたばかりだ。

 今は健康でも介護を必要とする時期は、多くの人にやってくる。制度が維持されても、生活が成り立たなければ本末転倒である。