映画の登場人物に感情移入して、自分の中の黒い部分を垣間見るなんて事はないだろうか。

よこがお

 劇中の市子はどこにでもいる女性。平凡に、つつましく、誠実に働き暮らしている。おいっ子の犯罪をきっかけに、世間の理不尽が一気に市子を襲いそして全てを失う。仕事、信用、婚約者、…。それは市子の未来を彩るはずのものだった。

 命を失わなくて済んだのは、自分を陥れた人間に復讐(ふくしゅう)を誓ったから。ましてその人間は市子を頼り、市子もかわいがった人物。でも、ぼうぜん自失の中、市子が企てる復讐に思わずつぶやいてしまった「生ぬるいんじゃない!」と。

 あれ、それでは自分が市子なら、もっとひどいことを考えるということか。

 妄想は自由だが、それにしても「生ぬるい」とは、聞き捨てならない。黒いな…私。

(スターシアターズ・榮慶子)

◇シネマパレットで上映中