沖縄県東村高江の民間牧草地で米軍の大型輸送ヘリが炎上事故を起こしてから11日でちょうど2年となった。事故前と変わらず、現地では昼夜を問わず集落上空を米軍機が飛び、事故に伴う補償も進んでいない。地権者の西銘晃さん(66)は「事故原因の説明もなく不安な状況は変わらない」と事故を振り返る。(北部報道部・當銘悠)

米軍の大型輸送ヘリが炎上した牧草地の場所を指さす西銘晃さん=8日、東村高江

炎上し黒煙を上げる米軍の大型輸送ヘリ=2017年10月11日、東村高江(西銘晃さん提供)

米軍の大型輸送ヘリが炎上した牧草地の場所を指さす西銘晃さん=8日、東村高江 炎上し黒煙を上げる米軍の大型輸送ヘリ=2017年10月11日、東村高江(西銘晃さん提供)

 平穏な日常が突如脅かされる沖縄の現状があらためて浮き彫りになった米軍ヘリの事故。2年が過ぎても事故現場となった東村高江の集落内では、遅い時には午後11時すぎまで米軍機の重低音が響く。

 妻の美恵子さん(65)は「今はヘリの音を聞くと思わずその方向を向いてしまう」と事故後に不安が一層増した心情を語った。晃さんは「謝罪よりも事故がなぜ起きたのか。その情報がほしい」と日米両政府の対応に憤りを隠さない。

 事故現場の土壌から環境基準値をわずかに超える有害物質ベンゼンが検出されたことで土の入れ替え工事が行われ、牧草の収穫を3回逃した。「作物補償」として防衛局の担当者が牧草地を訪れるなどして、2018年10月、19年2月、同年5月に収量を調査していたが、晃さんによると補償の話は進展がないという。沖縄防衛局は本紙の取材に対し、「補償については関係規則に基づき適切に対応している」と回答した。

 広大な牧草地は生き物の憩いの場でもある。ヤンバルクイナやノグチゲラ、カモ科のオシドリの親子が見られることも。美恵子さんは「米軍ヘリがすぐ上空を飛ぶということは、何かしら生き物たちにも影響があるのでは」と懸念。晃さんは「新しいヘリパッドがたくさんあるのになぜわざわざ集落に近い『N4』ヘリパッドを使うのか」と基地と隣り合わせの日常にうんざりした表情を浮かべた。