沖縄県の国頭漁協(大嶺嘉昭組合長)がグルクマなどの鮮魚をシンガポールに輸出するプロジェクトに力を入れている。水揚げから輸送、レストランで提供する料理までを漁師や県内商社、取引先のシェフらが情報を共有。水揚げから消費までの「見える化」で出荷強化につなげている。

漁師が畜養網から水揚げする様子を視察する「アキラバック」シンガポール店の木我智之料理長(右)ら=11日、国頭村・辺土名漁港

 輸出は4月から始まった。国頭漁協は現在シンガポールの四つの飲食店と取引。水揚げした魚を梱包(こんぽう)する様子や現地で作った料理などを、国頭漁協や地域商社の「萌(きざ)す」(糸満市・後藤大輔代表取締役)、輸入業者「メルカトーレ」(シンガポール・藏谷学社長)などがLINEでやりとりし、国頭の漁師やシンガポールのシェフに伝えている。

 村田佳久国頭定置網漁労長は「捕った魚がこんなふうに届けられている、というように出口が見えるようになったのはうれしい」と語る。

 海外輸出には鮮度の課題があったが、試験的に導入している高砂熱学工業(東京都・大内厚代表取締役)の細かな氷粒と海水が混ざったシャーベットアイスを利用し、鮮度を維持したままの輸送が可能となった。

 11日には、創作日本料理店「アキラバック」シンガポール店の木我智之料理長らが辺土名漁港を視察した。この視察は県産農林水産物輸出体制構築事業の一環で、他にも県内の農地などを訪れた。

 木我氏らは漁師が蓄養網からグルクマ、カスミアジなどの水揚げを視察。船上で活締めや血抜きなど手早く魚を処理する様子や輸送されるまでの流れを見学し、魚の試食も行った。木我氏は「どこで魚が捕れて、どのように輸送されるのか、それが見えるのはシェフとして安心」と話す。

 国頭漁協は現在、週に約20キロを輸出しているが、来年度は100キロを目指す。同漁協の金城信幸参事は「安定的に収量を確保できるようにし、ここで捕れた多種多様な魚の食べ方も提案していきたい」と展望を語った。