台風19号による記録的大雨の状況が伝わるにしたがい、被害の深刻さも明らかになってきた。

 16日午後現在、死者は12都県の77人、行方不明者は15人に上る。浸水による家屋の被害は1万5千棟以上を数える。行方不明者の捜索を急ぎ、被災地の復旧作業を進めなければならない。

 「百年に一度」の大雨と言われる今回の台風で大雨特別警報は過去最多の13都県に発令された。大雨による河川の氾濫も相次ぎ、堤防決壊は7県の59河川90カ所になった。今も約4千人が避難生活を強いられている。

 死者の半数以上を占める福島、宮城では高齢の溺死者が多く、逃げ遅れたケースが目立った。土砂災害に巻き込まれたり、車で移動中に犠牲になった人も相次いだ。短時間での冠水と道路の損壊が進む中、どこまで車を運転してよいのか、見極めは困難だ。

 台風から4日が過ぎた16日、被災地では、自宅に流れ込んだ泥をスコップで取り除く姿が見られた。

 冷蔵庫や家財が使えなくなり、粗大ゴミを運び出す住人も。首都圏のタワーマンションでは、地下の配電盤が浸水で壊れ、エレベーターやトイレも使えなくなり、部屋から避難する入居者も出ている。

 自宅に大きな被害がなくても、断水や停電が続き日常生活を取り戻すのに、長時間かかる場合もある。大規模な災害を目の当たりにし、あるいは大切な人を失い、精神的ダメージを受けている人も少なくないはずだ。災害の初期には、住民の生命と健康を最優先にした対応が求められる。

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 中でも厳しい状況に置かれているのが「災害弱者」と呼ばれる人たちだ。高齢者や子ども、障がいのある住民らへ必要な救援物資が届いているか、被災地で十分な心身のケアがなされているか。パーティションで、妊婦や家族ごとにプライバシーを守るなど、細かな心遣いも必要だ。公営住宅の提供などスピーディーで手厚い支援が求められる。

 国や地元自治体は、一人一人に目配りした長期的な視点で支援に努めてほしい。

 宮城や福島など12都県58市区町村に災害ボランティアセンターが開設された。すでに、多くのボランティアが活動を始めている。被災した地域は、過疎地域も多く復旧に「共助」が欠かせない。

 心配なのは東日本に週末再び大雨が降ると予報されていることだ。これ以上の犠牲者を出さないために早急な対策が求められる。

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 全国知事会長の飯泉嘉門徳島県知事は16日、内閣府を訪ね、不明者捜索や被災インフラなどの早期復旧に向け、十分な人的・財政支援を要請した。昨年夏、全国知事会は平時の予防対策から復旧復興までを担う「防災省」創設を政府に提言している。地震や台風など過去に例のない規模の自然災害が頻発する中、「防災大国」としての備えを求めるものだ。

 全力で被災地支援を進めるとともに常態化する豪雨や大規模災害に強い地域をつくるために、国としての体制強化の議論も進めてもらいたい。