ANAホールディングス(東京都、片野坂真哉社長)が遠く離れたロボットへ自らの視覚や意思を転送し操作する、アバター事業の実証実験を沖縄で本格化する。アバターはインターネットを通じて自分の分身となって景色を見たり、観光体験をしたりする存在。すでに美ら海水族館で実験を始めており、現在はANAセールス沖縄支店に2台のアバターロボットを設置している。

ANAアバターのイメージ例

東京から遠隔操作し本部町の美ら海水族館を巡る移動式アバター(ANAホールディングス提供)

ANAアバターのイメージ例 東京から遠隔操作し本部町の美ら海水族館を巡る移動式アバター(ANAホールディングス提供)

◆東京にいながら水族館

 観光だけでなく多くの離島を抱える沖縄の教育や産業、医療分野などにも応用し、アバター技術の経験と実績を積むことで、島嶼(とうしょ)地域の抱える課題解決を目指す。

 同社によると、航空機を使い自由に移動している人は、世界人口の約6%程度にとどまるという。距離や時間、体の障がいなど、さまざまな制約を抱える人が大半だ。自らの意思を遠隔地のロボットに伝え、その場所にいるような体験ができるアバター事業を3年前に企画した。

 2018年初旬に遠隔地のアバターをスマートフォンなどで操作できる通信プラットフォーム「アバターイン」を開発。同年春には本部町の美ら海水族館で、映像を撮影するカメラを搭載するアバターを使い、東京にいながら館内を巡る実験を実施した。

◆将来は触覚や体温も

 今月14日には県がアバター社会実装パートナーとして参画。今後は県の協力を得て離島の教育支援や、テレワークなど産業支援にも応用する。

 家庭用アバターの実験も進めており、遠く離れた高齢者家族や子どもの見守りにも活用。将来的には、触覚や体温などを伝えるアバターを開発し、触診などの医療や、介護分野への応用も目指している。

 同社アバター準備室ディレクターの深掘昂氏は「アバターは人間の癖も表現し、人間味を出せる点が特徴だ。職場や街中など、人間に交じって違和感なく行き交い、生活を支える時代もそう遠くない」と期待した。(政経部・仲本大地)