大弦小弦

[大弦小弦]五輪責任者たちの無責任

2019年10月21日 08:00

 東京の夏は、55年前も暑かった。だから前回東京五輪は秋だった。時期を選ぶ際、夏場は「選手にとって最も条件が悪い」と真っ先に除外された。同じ夏場が、今回の招致PRでは「理想的な気候」に化けた

▼うそは破綻した。大会の華、マラソンが札幌に移る。しかし、選手を熱中症の危険にさらすところだった責任者に反省の色はない。小池百合子都知事は「北方領土でやったら」と嫌みを言いつつ、まだ東京開催を主張している

▼大会組織委員会の森喜朗会長は「この暑さでやれるという確信を」「ある意味チャンス」と精神論をぶっていた。国際オリンピック委員会(IOC)の介入で退けられ、「やむを得ない」と言うのみ

▼政府では橋本聖子五輪相。突然のコース変更で戸惑う選手に「与えられた環境で競技するのが求められる力量」と責任をかぶせた

▼IOCのバッハ会長は「選手の健康を守れる」と変更を誇る。でも、他競技の選手は酷暑の東京に残る。大会自体を秋にずらせばいいのに、人気スポーツと時期が重なることを嫌う米テレビ局に逆らえない。選手ではなく「放映権料ファースト」である

▼五輪は危険に目をつぶって突っ込むようなものではないはずだ。旧日本軍の無謀さに重ねる声さえある。改めて、大イベントが総無責任体制で準備されていることに驚く。(阿部岳

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