社説

社説[ラグビーW杯日本躍進]多様性の強さ発揮した

2019年10月22日 09:01

 鍛え上げられた肉体がぶつかり合う迫力を目の当たりにし、ラグビーがぐっと身近になった1カ月だった。

 アジア初開催となったワールドカップ(W杯)日本大会で、日本チームは初の8強入りを果たした。準々決勝で強豪南アフリカに敗れたものの、決勝トーナメントの扉をこじ開けたのだ。

 新たな歴史を刻んだ選手たちに惜しみない拍手を送りたい。

 今大会、日本は予想を上回る活躍で、1次リーグを4戦全勝で通過した。重圧をはね返したロシアとの開幕戦。優勝候補のアイルランドに逆転勝ちした第2戦。終了間際のトライでボーナス点1を加算したサモアとの第3戦。第4戦では伝統を誇るスコットランドに競り勝った。

 初出場した1987年の第1回大会から数えて9度目の挑戦で、悲願だった8強の快挙を成し遂げたのだ。

 振り返れば、長く険しい道のりだった。95年大会でニュージーランドに17-145で惨敗した記録は、今もW杯の1試合最多失点として残る。世界との力の差は大きく、2011年大会までの成績は1勝2分け21敗。前回15年大会で南アフリカを破って3勝を挙げても8強には届かなかった。

 大きな進化の背景にあったのは、世界最高峰リーグのスーパーラグビー(SR)への参入と、異例の長期合宿だったという。

 SRでトップ選手らと実戦を重ね、合宿で戦術と結束を深めた結果、つぼみが花を開かせたのだ。

■    ■

 多国籍で多様な背景を持つ選手が「ワンチーム」をスローガンに戦い抜いたことも戦力強化につながったといえる。

 ラグビーでは「3年以上居住」などの条件を満たせば代表資格が得られることもあって、日本チーム31人のうち実に15人がニュージーランドやトンガ、韓国など外国出身だ。

 日本人離れした風貌や名前に特に違和感を持つことなく代表全員に大きな声援が送られたのは、選手とファンが同じ夢を共有していたからだと思う。

 元陸上選手の為末大さんは「多様なバックグラウンドを持った人間が、共通のビジョンを持って『ワンチーム』を構成しているというのは希望だと感じている」と記す。 

 日本選手の活躍を通して、国籍や人種といった硬直した枠を乗り越える可能性を見た大会でもあった。

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 準々決勝から一夜明け記者会見に臨んだ選手たちは、疲労感をにじませながらも晴れやかな表情を見せた。

 印象に残ったのは「ラグビーという競技が国民に認知された」「日本代表になりたいという子どもが増えれば一番うれしい」との言葉だ。

 期間中、台風で試合が中止になったカナダの選手が、泥かきのボランティアに汗を流したことにも感銘を受けた。試合が終われば敵味方関係ないという「ノーサイド」の精神もすがすがしかった。

 ラグビー人気はもちろん、その文化がもっと広がればいい。

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