[アクロス沖縄]インスタグラマー・文筆家 「きらめく星のなったん」さん=沖縄市出身

 学校になじめず、自宅に引きこもっていた少女は、勇気を出して一歩を踏み出した。SNS(会員制交流サイト)が社会への扉を開けてくれた。孤独を感じ、部屋の片隅で泣いていたあの日。今や、写真共有アプリ「インスタグラム」のフォロワー数19万6千人を集める存在に。「文才のすごいギャル」と呼ばれ、エッセーを出すまでになった。

SNSなどにつづった言葉が、多くの人の共感を呼んでいる「きらめく星のなったん」さん=2日、静岡県熱海市(本人提供)

 幼少期から何にでも「なんで?」と疑問を持つ子だった。「なぜ、みんなが当たり前にできることが、あなたはできないの」。学校の先生には、そう言われ続けたが、理解できないまま「当たり前」を受け入れることができなかった。

 「自分はおかしいんだ。失敗作だ。母が女手一つで育ててくれたのに」。何度も自分自身を責めた。次第に学校から足が遠のき、小学3年の頃から登校と不登校を繰り返した。

 物心ついた時からインターネットに親しんできたデジタルネーティブ世代。日々起きたことや感じたことをブログにつづった。根は恥ずかしがり屋。笑いや自虐を交えて書いたら、同世代の女の子から「面白い」との評判を得ていく。

 勉強は苦手だったが、読書が好きで、作文は何枚でも書けた。小さな子がアイドルに憧れるように、物書きになるのが夢だったが、それを目指すだけの覚悟は、まだなかった。

 やりたいことを探しに、バイト代10万円を握りしめ東京へ。その日暮らしの数年間を経て、地に足をつけようと医療事務に就いた。

 転機は昨年8月。敬愛する漫画家さくらももこさんの訃報だった。「私が物書きを目指していたら、もしかしたら彼女に会えていたかも」。やりきれない後悔が込み上げた。しばらく、ふさぎ込んだ後、吹っ切れた。「行動してみよう」

 インスタに当時フォロワーが1万人。「この中に出版関係者がいるかもしれない」。今まで心の内に秘めてきた思いを書きつづった。「将来の夢は恥ずかしくて言えなかったけど、ライターになりたい」。すぐには反応はなかったが、フォロワーが増えるにつれて出版社などからオファーが届くようになった。

 今では雑誌ウェブ版などに連載4本。恋愛や生き方など、「私ならこうする」という実体験を交えた切れ味鋭い直言が世代を超えて共感を呼んでいる。

 物書き一本で食べていきたいけれど、まだ道半ば。でも、夢に向かって日々書いている今が楽しい。「泣いてばかりいたあの頃の私が見たら、喜ぶでしょうね」。そう言って笑った。(東京報道部・西江昭吾)

 【プロフィル】きらめくほしのなったん(本名・年齢非公表) 沖縄市出身。本島中部の県立高校を中退後、18歳で上京。都内の医療事務に勤めつつ、SNSやニュースサイトなどで文筆活動を続けている。2019年7月に初の書き下ろしエッセー「待ち人来ずってなんなの 私から会いに行くから お前が待ってろよ」(KADOKAWA)を出版。インスタのアカウントはnattan0504