「国民の幸せと世界の平和を常に思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います」

 天皇陛下は22日に開かれた「即位礼正殿の儀」で内外に即位を宣言した。災害の被災者や戦没者に心を寄せた上皇さまの姿勢を受け継ぐことを改めて表明した。

 当初は祝賀パレードが予定されていたが、政府は台風19号の甚大な被害を踏まえ、11月10日に延期した。犠牲者への哀悼の意を表明し、安否不明者の早期発見と生活再建を願う陛下の強い思いにも配慮し、方針を転換したとみられている。

 新憲法下で2度目の即位の儀式だ。陛下は、天孫降臨伝説を模したとされる玉座「高御座(たかみくら)」に上り、神話に由来する「三種の神器」のうち、剣と璽(じ)(勾玉(まがたま))が用いられた。内閣の助言と承認が必要な国事行為にもかかわらず、神道の宗教色が強く、憲法が定める政教分離に反するという批判が根強い。

 政教分離は、戦前の国家神道が軍国主義の精神的基盤になったことへの反省が背景にある。伝統儀式であっても、憲法との整合性が問われるのは当然だ。

 高御座に上った陛下を前に安倍晋三首相がお祝いの言葉を述べた。首相ら三権の長が見上げる形は国民主権の観点から疑問視されている。

 政府は前回の様式を踏襲するだけで、現憲法の象徴天皇に見合う儀式のあり方についての検証と議論を尽くしたといえない。

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 11月に予定されている「大嘗祭(だいじょうさい)」は新天皇が即位した年の収穫物を神々に供え、自ら祈る儀式だ。神道色が強く、国事行為ではなく、皇室行為とされている。宮廷費が充てられるが、国費であることには変わりはない。

 前回の大嘗祭について、1995年、大阪高裁は「儀式への国庫支出は政教分離規定に違反するのではないかとの疑いは否定できない」という判決を出している。

 皇嗣(こうし)秋篠宮さまも「宗教色が強い。それを国費で賄うことが適当かどうか」と発言した。憲法上の疑義が生じないあり方を求めたい。

 一方、象徴天皇制は皇位の継承や皇室活動の維持などに多くの課題を抱え、重大な岐路に差し掛かっている。

 女性・女系天皇などの課題に国民的な議論が不可欠だ。

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 陛下は昭和の時代に1度、平成の時代に4度の計5回、沖縄を訪問している。

 1987年の初訪問時は国立沖縄戦没者墓苑などを訪ね「現地を巡って、戦争を体験した方々の話を聞き、当時の資料、戦跡を見るにつけ、沖縄戦の悲惨さを痛感する」と語り、戦争が繰り返されることがないよう祈念した。

 上皇さまは皇太子時代を含め11回、沖縄を訪問した。地上戦で多くの犠牲者を出した沖縄に特別な思いを寄せた。

 戦後生まれの陛下は平和を求める心や沖縄への思いをどのように形にしていくのか。上皇さまの寄り添う姿勢を引き継ぎ、自らの言葉で語ってほしい。