17世紀の英詩人ジョン・ダンに有名な一節がある。〈だれも孤島ではない/人はみな大陸の一部/全体の一部〉。ヘミングウェーは「誰がために鐘は鳴る」のタイトルを、この詩から引用した。孤島は英語で「Island」。新聞は「離島」と表記する。実は、差別との指摘がある

▼与那国町の外間守吉町長が、離島振興を考える県庁の会議で「離島という表現は、差別用語ではないでしょうか」と提言した。会議の部会長を務める嘉数啓さん(琉大名誉教授)は本紙に「意義のある問題提起だ」と寄稿した

▼嘉数さんによると、鳩間島出身で琉大前学長の大城肇さんも、離島と聞くと「差別だ」と怒るという。言われてみると「政治・経済の中枢である本島から離れた場所」という、上から目線を感じるかもしれない

▼沖縄は47の有人島がある。歴史に支えられた多様な文化と、住民が愛する豊かな自然。島々の存在こそが沖縄の多様性だ。どの島も孤島ではない

▼離島の名称は法律で決まっているが、県内で新しい呼び方を議論してもいいのでは。嘉数さんは「島(とう)嶼(しょ)」を提唱している。比較の概念がなく、客観的だ

▼今の沖縄振興計画は2021年度まで。県は次の計画で何を柱に据えるか。小さな島々の一人まで取り残さない。島こそが沖縄振興の要(かなめ)。そんな意識で臨んでほしい。(吉田央)