社説

社説[辺野古訴訟却下]政府に追随した判決だ

2019年10月24日 08:51

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決を「違法な国の関与」として、県が国を相手に起こした「国の関与」取り消し訴訟の判決が23日、福岡高裁那覇支部で言い渡された。

 大久保正道裁判長は「(地方自治法によって)裁決は国の関与から除外され、訴訟の対象になり得ない」などとして県の訴えを却下した。

 判決は県の訴えをことごとく退け、国の主張を全面的に認めている。

 県は、国の機関である防衛省沖縄防衛局が一般私人の権利救済を目的とする行政不服審査法(行審法)を使って国交相に審査を申し立てたのは違法であると主張した。

 判決は、公有水面の埋め立てを排他的に行って土地を造成する点では防衛局と一般私人は本質的に異なるものではなく、「沖縄防衛局は、行審法に基づき、国交相に審査請求をすることができる」と国の立場を追認した。

 埋め立て用途がどのようなものであるかは影響しないとしている。米軍に基地を提供する私人がいるだろうか。とうてい納得できない。

 県は、新基地建設を推進する安倍内閣を構成する防衛局の申し立てを同じ内閣の国交相が審査するのは身内同士による判断で、中立・公正に重大な問題があると主張した。

 判決は、国交相が内閣の一員だからといってただちに審査庁の立場を放棄していたということはできず、その権限・立場を著しく濫用(らんよう)したとは認められない-とした。

 本当にそうだろうか。「辺野古が唯一」と内閣を挙げて新基地建設を推進する中で、国交相が中立的に裁決することは不可能だ。

■    ■

 防衛局の申し立てを国交相が裁決する手法を認めるのは地方自治を破壊するものだ。強引な法解釈によって国の方針に従わない自治体の決定は、何であれ国が覆すことができるようになる。沖縄だけの問題ではないのである。

 1999年の改正地方自治法で国と自治体の関係が「上下・主従」から「対等・協力」の関係に改められたことにも、もとるものだ。

 県は上告する構えだ。撤回後の昨年9月の知事選から今年7月の参院選まで「辺野古反対」を掲げた候補者が3連勝。2月の県民投票では投票総数の7割以上が埋め立て工事に反対の民意を示した。だが国は工事を進め対話にも応じない。そんな中での県敗訴であり、玉城デニー知事に手詰まり感が漂うのも事実だ。

■    ■

 埋め立てが始まっていない大浦湾側には「マヨネーズ並み」といわれる軟弱地盤が広がる。海底に約7万7千本の砂ぐいを打ち込むなど大規模な地盤改良が必要になる。サンゴ類や海藻草類などに決定的な影響を及ぼすのは確実だ。国の天然記念物のジュゴンは周辺からいなくなり、絶滅の疑いが出ている。地盤改良には県の承認が必要だが、玉城知事は認めない方針だ。

 今回の判決は問題だらけの新基地建設にお墨付きを与えるようなものである。司法が行政へ追従したと言わざるを得ない。

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