[土肥義則ITmedia]

 その昔のことである。駅のホームで、サラリーマンのおじさんが腰に手をあてて、コーヒー牛乳をグビグビ飲んでいる姿をよく見かけた。そのような光景を目にすることはほとんどなくなったが、いまのサラリーマンは腰に手をあてて、何を飲んでいるのだろうか。読者の中には「ゼリー」を挙げる人がいるかもしれない。

 「な、なんだよ、ゼリーって。カフェのコーヒーだろっ! 街中で持ち歩いている人をよく見かけるし」といったお叱りの言葉が飛んできそうだが、ちょっと待っていただきたい。確かに駅のホームで、ゼリーを飲んでいる光景を目にする機会は少ない。

 が、しかしである。「寝坊しちゃった。朝ごはんをゆっくり食べる時間がない」といったときに、家の中で、腰に手をあてながらグビグビやっている人がいるのかもしれない。そのように感じるほど、とあるゼリーが売れているのだ。10秒チャージでおなじみの「inゼリー」(森永製菓、200円~、税別)である。

森永製菓の「inゼリー」が売れている

 2018年度の売り上げを見ると、過去最高を更新。15年度と比べ、実に70%も伸びているのだ。inゼリーが登場したのは、25年前のこと。ナリタブライアンが三冠馬になって、関西空港が開港して、「同情するなら金をくれ」というセリフが流行した年に生まれたinゼリーは、なぜいまも売れ続けているのか。

 その秘密を解くために、森永製菓で同商品を担当している針ヶ谷仁さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。