世界ボクシング評議会(WBC)元フライ級王者で、浦添市出身の比嘉大吾24=白井・具志堅スポーツ=が年明けの復帰を目指して本格始動した。昨年4月、計量失敗で世界のベルトを剝奪され、「一度はボクシングを辞めようと思った」と語る。今月、日本ボクシングコミッション(JBC)がプロライセンス無期停止処分を解き、再びグローブに拳を通した。約1年半の処分期間中、何を考えていたのか。何を原動力にもう一度リングへ向かうのか。本紙の取材に胸中を明かした。
豪快なパンチが、乾いたさく裂音とともに友利正トレーナーのミットへ打ち込まれる。インターバル中、比嘉は汗を拭いながら「体が重い」と息を切らした。その拳にはまだかつてのキレは戻っていないものの、15勝15KOを生み出した破壊力は健在だ。
栄光のさなかに計量失敗でプロ失格の批判を浴び、全てを失った。一方、フライ級の限界を超えた減量苦から解放され「ボクシングは嫌いにはならなかったけど、しばらくはやりたいとも思わなかった。練習もプライベート優先で行ったり行かなかったりが続いた」という日々を経験した。
ひと回り大きくなった背中からは、ボクシングと再び向き合おうとする決意を感じた。なくしたものを一つずつ取り戻すかのように。(小笠原大介東京通信員)