イギリスの科学者ファラデー(1791~1867年)の著書「ロウソクの科学」が、県内の書店でも品薄となるなど、反響が続いている。ノーベル化学賞受賞が決まった吉野彰さん(71)が、研究の道を志すきっかけとして挙げた本だ

▼本の内容は、1861年にロンドンの王立研究所での6回連続の講演記録。同研究所教授のファラデーが、身近なロウソクを題材に若者に向けて科学の面白さを語る。当時70歳だったファラデーのみずみずしい探究心が随所に息づく

▼ロウソクの炎はどうやって燃料の供給を受けるのか。それは「毛管引力の作用」。タオルが水を吸い込むのも同じ種類の現象と解説。また、炎をあげて燃えるものからはすべて水が生成されるとし、実験で示していく

▼貧しい鍛冶屋の次男として生まれた。製本屋の徒弟に出され、製本しかけの本を読み、科学に興味を持って実験をする少年期を過ごした。後年、電解物質における「ファラデーの法則」など、いくつもの歴史に残る業績を打ち立てた

▼本の増刷が決まり、吉野さんは「将来の研究者が生まれるといい」と若い世代に期待した。19世紀の先人と思いが重なる

▼一冊の本が、人生を豊かにしたり、指針になってくれたりする。きょうから「読書週間」。新たな出合いが待っているかもしれない。(内間健)