沖縄県今帰仁村立今帰仁中学校2年の具志堅興托(きょうた)さん(13)が書きためた詩を集めて本にしようと、同級生やその保護者たちが発行費用を募るチャリティーイベントを11月3日に企画している。知的障がいのある興托さんは小学2年から、教諭らの手助けを得ながら、素朴で温かな言葉を紡いできた。当日は趣旨に賛同した地域の人々が集まり、エイサーや吹奏楽、フラダンスなど多彩な演舞で来場客をもてなす。興托さんは「僕のためにうれしい。仕事や部活もあるのに、動いてくれてありがとう」と感謝を込める。(学芸部・新垣綾子)

詩を作るこつを「集中し、思ったことをそのまま書く」と話す具志堅興托さん=今帰仁村

具志堅興托さんの詩集発行に向け、チャリティーイベントをPRする実行委員会の(左から)宮城すま子さんと立津一さん=22日、今帰仁村立兼次小学校

詩を作るこつを「集中し、思ったことをそのまま書く」と話す具志堅興托さん=今帰仁村 具志堅興托さんの詩集発行に向け、チャリティーイベントをPRする実行委員会の(左から)宮城すま子さんと立津一さん=22日、今帰仁村立兼次小学校

 興托さんの詩はその時の気分や季節に合わせて思い付いた表現を、特別支援学級の教諭らと一緒に並べ替えながら作り、挿絵も盛り込む。同村立兼次小学校に在籍していた6年間、学習支援員として関わり続けた宮城すま子さん(46)は「予想もできない言葉が面白いように出てくる。素直で優しい詩に心が和んだり、勇気づけられたりしてきた」と話す。「授業の中だけに留めておくのはもったいない」と、やがて校内の目立つ場所への作品掲示が恒例になった。

 「さくら」と題した詩は〈ぼくの村にさくらさく〉で始まり〈えがおがあふれ/ぼくの心もおどりだす〉と締めくくるリズミカルな一作。タイトル「秋」は、さわやかな情景描写が印象的だ。

 「お母さん」は小学校の卒業式を目前に病気で亡くなった母親を思い浮かべ、中1の夏に作った。〈一緒にお出かけしたこと〉〈ぼくをほめてくれたこと〉と心に残る母との思い出を振り返り〈「じゃあね。」って言ったお母さん/「いってらっしゃい。」とぼくは見おくった〉と悲しい別れをつづった。興托さんは「帰ってきてほしかった。だけど、ぼくは長生きしてお母さんに頑張ったことを伝えたい」と語った。

 宮城さんが詩集発行を提案すると、興托さんの同級生やその保護者らがすぐに賛同。宮城さんらを代表に実行委員会が結成され、5月から準備を進めてきた。実行委事務局の立津一さん(50)は「保護者、子どもたちの気持ちが一つになった。たくさんの人に興托の詩を読んでほしい」と呼び掛けた。

 詩集に収録するのは小3から中2までに書いた約30作。来年始めに完成し、資金協力者のほか本島北部の学校や図書館に寄贈する予定。

 イベントは11月3日午後2~4時、兼次小体育館で。現代版組踊「北山の風」のメンバーが出演するほか、興托さんによる詩の朗読もある。