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泊漁港の敷地内に積み上げられた放置艇。老朽化が進んでいる船もある=那覇市港町の泊漁港

泊漁港の敷地内に積み上げられた放置艇。老朽化が進んでいる船もある=那覇市港町の泊漁港

 沖縄県管理の27漁港で長年使用されていない漁船やプレジャーボートなどの「放置艇」が減らず漁業関係者が頭を抱えている。県は毎年50隻前後を処分しているが、放置艇は新たに発生。年間300~500隻と高止まりしている。県は船の識別番号から所有者を探しているが、処分費を支払えるだけの資金力がなかったり、死亡や転居などで特定できなかったりと、処分は難航している。漁業団体は「放置艇を出さないよう船の購入時から処分費を積み立てる体制づくりが必要」と関係機関挙げての対策を訴えている。(政経部・津波愛乃)

 放置艇は県が港内に陸揚げしている。これまで火災台風時に飛ばされてほかの船に衝突するなどの問題が起きている。中には30年以上放置されている船もあるという。

 県は2015年から県管理漁港にある放置艇の調査を開始し、漁港関係者からの聞き取りで数を把握している。放置艇は15~18年は300隻台と横ばいで推移。19年は聞き取りに加え、県への届け出なしで漁港に停泊している船を含めるよう調査方法を変更し、前年比154隻増の490隻となった。

 県は放置艇の所有者を割り出して処分を依頼しているが、担当者は「所有者が廃業して費用が出せない場合や所有者が死亡して遺産相続人が分からない事例もあり進まない」と頭を抱える。

 県は老朽化が激しく明らかに船として使用できない場合は「資産価値がない廃棄物」として16~19年5月にかけて40隻を処分し、費用計663万円を負担した。担当者は「所有者が支払うのが責任という立場は絶対に崩さない。処分後に所有者が分かれば支払いを求めていく」と話す。

 放置艇は漁港のインフラ整備にも影響を与えている。泊漁港は糸満市に荷さばき施設が移転されるのに伴い、再整備が計画されている。那覇地区漁業協同組合の山内得信組合長は「放置艇は組合所属でなく、すべて個人操業者の船。たたでさえ敷地が狭く、放置艇があることで漁業者の運営に支障を来している」と話す。

 新たに放置艇が発生しないよう声掛けや見回りをしているが対応には限界がある。山内組合長は「放置艇の処分を加速させるとともに、新たな放置艇を出さない仕組みづくりが必要だ」と訴えた。