幼児教育・保育の無償化がスタートしてやがてひと月がたつ。保育所や幼稚園の利用料を無料にしたり補助したりすることで、子育て世帯の経済的負担を軽くすることを狙う制度だ。国や自治体は、制度の効果を点検し、必要な改善に取り組むべきだ。

 無償化では認可保育所や認定こども園、幼稚園に通う3~5歳児の利用料が無料となる。一部の私立幼稚園には月2万5700円まで補助される。また所得の低い住民税非課税世帯の0~2歳児が無償化の対象となる。

 認可外保育施設は、自治体から保育の必要性が認定されれば利用料が補助される。3~5歳児は月3万7千円、住民税非課税世帯の0~2歳児は月4万2千円が補助の上限となる。

 子育てには金がかかる。保護者にとっては、子育ての大きな手助けとなる制度だろう。明治安田生命保険が制度開始前、0~6歳の子どものいる男女に実施したアンケートでは74・5%が無償化に賛成だった。

 ただ、無償化は同じ日にスタートした消費税増税とセットだ。

 同アンケートでは子どもを増やすことに「消極的」と回答した人に、無償化で子どもが欲しくなるか尋ねたところ、肯定的だったのは2・2%にとどまった。

 無償化されても子どもを増やすことに前向きになれない理由に「消費税増税で生活費がカバーできない」「教育費や保育料が補助されても習い事でお金がかかる」などが挙がった。

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 制度のほころびも見える。 給食費は無償化の対象外。年収360万円未満の世帯と第3子以降は副食費(おかず代など)が免除されるが、原則、保護者の実費負担となり、かえって負担が増す「逆転現象」が起きている。

 自治体独自の財源で、国の基準より手厚く補助を受けていた低所得世帯や多子世帯で、かえって負担が増える現象が起きている。

 また、認可外保育施設で、国の補助金を当て込み、国の上限まで利用料を上げるなどの「便乗値上げ」が確認され、少子化対策担当相が注意を促した。

 無償化は2017年10月の衆院選直前、安倍政権が突然打ち出した公約で、拙速さを批判する声が絶えなかった。

 子育て世帯の経済的負担軽減という目的に立ち返り、必要に応じて制度を作り直していくべきだ。

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 希望しても認可保育所に入れない待機児童数はことし4月1日現在、全国で1万6772人。沖縄県は全国で2番目に多い1702人。

 無償化によって、保育ニーズがますます掘り起こされ、保育士不足に拍車がかかり、待機児童が増えることも予想される。

 政府が無償化を発表した際、「待機児童問題解決のほうが先」と指摘する声も多かった。

 無償化だけでは「子育てしやすい環境」はつくれない。待機児童対策は待ったなしで、政府は、保育士確保に本腰を入れるべきだ。