闘争心あふれる牛の鋭い目つきと鼻息、鼓舞する勢子(せこ)の掛け声。今帰仁村で闘牛大会を初めて取材し、その迫力に興奮した

▼会場では、闘牛一家で育った写真家の久高幸枝さんにも出会った。「闘牛のかっこよさ、牛の優しさ、人と牛の触れ合いを紹介したい」と話し、シャッターを切る姿は闘牛愛であふれていた

▼牛と牛が角をぶつけることは、一番強い者だけが子孫を残す動物本来の本能。勝てばうれしそうにしっぽを振り、負ければ悲しそうに歩く。牛を飼う人は、牛のプライドを傷つけまいと一生懸命応援する。一家総出で牛の散歩、水浴び、ブラッシングなど愛情をたっぷり注ぐ

▼一方で、動物愛護団体から動物虐待として法規制強化を求める声があるようだ。闘牛に詳しい沖縄国際大学名誉教授の宮城邦治さんは「沖縄の闘牛はスペインとは違う。農村の生活に根付き、人々を喜ばせてきた牛同士の力比べ。文化の多様性を知ってほしい」と話す

うるま市は闘牛を無形民俗文化財に指定し、19日に「闘牛のまち」を宣言した。北部の闘牛の発生地とされる今帰仁村でも「村指定無形民俗文化財に」との声がある

▼闘牛を歴史ある文化として対外的にPRすれば、懸念も払拭(ふっしょく)され観光経済にもつながるはず。11月10日には全島闘牛大会もある。文化の秋に闘牛の魅力に触れてみたい。(吉川毅)