車いすでも利用しやすいユニバーサルデザイン(UD)のタクシーにもかかわらず、運転手が操作に不慣れで乗車拒否が相次いでいるとして、障害者団体「DPI日本会議」のメンバーら約100人が30日、全国各地で乗車や配車を試みる一斉調査を実施した。県自立生活センター・イルカ(宜野湾市)の平良和希さん(35)も参加。12カ所目にかけた電話で配車が手配できた。同団体は件数を集計し、今後国や事業者への提言に活用する。

運転手に誘導されながらUDタクシーに乗り込む平良和希さん=30日、宜野湾市の県自立生活センター・イルカ

 国は運転手の研修実施を条件に、UDタクシーの導入事業者に対する補助金を整備。バリアフリー化を進めてきたが、現場での対応は十分に根付いていない。

 電動車いすを利用する平良さんは脳性まひの後遺症で左半身に障がいがあり、話す言葉もゆっくりだ。午前10時15分、携帯電話で業者に配車を依頼した。

 1社目。「車いすでも乗れるUDタクシーを」と伝えたが、約10分後に来たのは一般的なセダン型のタクシー。UDタクシーのことがうまく伝わっておらず再度電話したが、「空車がない」と断られた。その後も他の事業者に電話をかけ続けても「那覇周辺でしか利用できない」「予約しないと配車できない」「空きがない」との返答ばかり。中にはUDタクシーと、福祉事業者が利用する介護タクシーとの区別がつかず「扱いがない」と断る業者もあった。

 12カ所目にかけた普天間交通で配車に成功。電話開始から1時間近くがたっていた。

 迎えに来た男性運転手はUDタクシーを担当して2年。「電動車いすの方を乗せるのは初めて」と緊張した面持ちで助手席や後部座席の位置を移動させ、組み立て式のスロープを設置した。9分20秒かけて平良さんの乗車が完了した。

 男性によると、ワゴン型のUDタクシーは「小回りが利かない」と担当したがらない運転手もいるという。「スロープを設置するのに混んだ道で停車することには不安がある。運転手も数をこなして慣れる必要がある」と話す。

 県ハイヤー・タクシー協会によると、加盟する124社3480台のうち、UDタクシーは178台(今年3月時点)。協会が定期的に講習を開いているが、運転手に受講の義務はないという。

 車いすで移動する県脊髄損傷者協会理事長の仲根建作さんも30日、帰宅時に流しのタクシー利用を試みた。待つこと40分。UDタクシーが通ったが、「講習を受けていないのでシートベルトの仕方が分からない」と乗車を拒否された。

 仲根さんは「車いすの乗車に抵抗感を持つ運転手や業者がいると肌で感じる。導入台数を増やすだけでなく、一人一人の意識が大切。運転手が学べる場を公的機関が率先して提供してほしい」と話す。

[ことば]UDタクシー 高齢者や子ども、障害者も利用しやすいよう設計されたユニバーサルデザインのタクシー。UDは英語のUniversal Designの頭文字。運転手が車内に収納されたスロープを設置することで、車いすのままでも乗り込める。事前予約が必要な福祉タクシーと違い、流し営業で気軽に使えるのが特徴。国は設計基準に基づく認定制度を設けており、トヨタ自動車の「ジャパンタクシー」と日産自動車の「NV200」「セレナ」が認定を受けている。