食べ物を口にして、そのおいしさに目と目を合わせてうなずき会えたら幸せだろう。苦しいときに、何も言わず同じ月を一緒に見上げてくれたらうれしかろう。

おいしい家族・スクリーンガイド

 何もかもうまくいかず都会の暮らしに疲れた橙花が、生まれ島に母の3回忌で帰ってくる。そこで目にしたのは母のワンピースを着てご飯を作って待っていた父。

 加えて居候ふたりが当たり前のように食卓を囲むのに、弟夫婦は何事もないように自然体。唖然(あぜん)茫然(ぼうぜん)、目が点状態の橙花に父が言う「父さん、みんなで家族になろうと思うんだ」。何と、父はこの居候男と結婚までするというのだ。

 「常識」や「普通」がいつも人を幸せにしてくれるとは限らない。誰もが足りない何かを抱えながら生きている。血などつながっていなくとも、少しのやさしさがその不足のかけらになれたなら、食卓は華やぎ見上げる月は更に美しい。

(スターシアターズ・榮慶子)

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