米海兵隊岩国基地(山口県)所属部隊が2016年、嘉手納基地沖の上空で戦闘機と空中給油機の接触事故を起こしながら公表せず、正式な調査も見送っていたことが2日、米軍の報告書で分かった。手放しの操縦や部隊内の薬物乱用など重大事故につながりかねない規律違反が横行している実態も明らかになった。6人が犠牲になった昨年12月の高知県沖の墜落事故と状況が酷似しており、報告書は「(沖縄で)調査していれば(高知は)防げた可能性がある」と内部批判した。(2・3・29面に関連)

2016年の事故後、FA18戦闘攻撃機の右翼に引っかかる給油ホース(米軍報告書より)

 沖縄の事故は日本側に報告がなかった。防衛省補償課は取材に「詳細や通報がなかった経緯を海兵隊に問い合わせ、回答を待っている」と答えた。

 謝花喜一郎副知事は「あり得ない」と述べ、日米の通報体制を問題視した。

 報告書によると、沖縄の事故は16年4月28日に起き、第242(全天候)戦闘攻撃中隊のFA18戦闘攻撃機が、別部隊のKC130空中給油機と嘉手納沖で接触し、給油ホースを引きちぎった。

 2機は嘉手納基地に順次着陸し、けが人はいなかった。事故の深刻度は4段階で下から2番目に位置付けられ、本格調査はしなかった。高知沖の事故は約2年7カ月後の18年12月6日に起きた。

 いずれの事故もFA18の操縦士が月明かりのない暗闇で初めて空中給油を受けている最中に起きた。機体の高度や体勢を把握できなくなる失調状態に陥ったと指摘されている。

 所属部隊を抱える米第3海兵遠征軍の広報担当者は「通報は日米両政府間の合意に沿って行う」と述べたが、どの合意の条項で判断したかは説明しなかった。

 航空自衛隊の元戦闘機パイロットは「難易度が高い空中給油では細かい事故が珍しくなく、人的ミスとはっきりしていれば報告だけで調査しない。高知の事故が起きたから事後的に問題視したのではないか」と語った。

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 空中給油 空中給油機と戦闘機などをホースや筒状の「ブーム」と呼ばれる装置でつなぎ、飛行しながら燃料を補給する作業。給油機の後方における気流の乱れもあり、夜間は特に難易度が高い。

(写図説明)2016年の事故後、FA18戦闘攻撃機の右翼に引っ掛かる給油ホース(米軍報告書より)