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首里城の龍柱 猛火のひび割れに耐えた SNSで「奇跡」「希望」 美術工芸品は全焼免れる

2019年11月3日 08:00

 首里城火災で2日、城内2カ所の収蔵庫内にあった琉球王国時代の美術工芸品など1075点が全焼を免れたことが分かった。収蔵品の所有者で、城を管理する沖縄美ら島財団(花城良廣理事長)などが明らかにした。那覇署対策本部は1日に続き、80人態勢で実況見分を行った。最初に火災を見つけた警備員の証言などから正殿の北側を火元とみており、3日も午前10時から重点的に調べる。

全焼した正殿で実況見分する消防職員と焼け残った龍柱2体。ネットで「奇跡の龍柱」と話題になっている=2日、那覇市首里当蔵町・首里城内

(資料写真)消失前の首里城正殿。2本の龍柱が見える

全焼した正殿で実況見分する消防職員と焼け残った龍柱2体。ネットで「奇跡の龍柱」と話題になっている=2日、那覇市首里当蔵町・首里城内 (資料写真)消失前の首里城正殿。2本の龍柱が見える

 財団によると、出火元とみられる正殿内で過去に漏電や電気系統のトラブルはなく、10月15、18の両日の点検でも異常は確認されなかった。正殿では夜間、機械警備と防犯カメラ7台に供給する以外の全電源を落とした状態にしており、火災発生直前も同様の対応を取ったという。

 2日午後、消防の協力で、炎で扉がゆがむなどして開けられなかった南殿・寄満(ゆいんち)の2収蔵庫の内部を確かめた。見る限り南殿側は無事で、寄満側は床が水にぬれた状態。現場視察に訪れた国会議員らによると、同財団職員から「扉が残り、焼失や破損は免れている」などと説明を受けたという。収蔵庫は二つとも耐火性があるとされていた。

 同財団は学芸員らが順次、木箱などのケースに入った状態で収蔵品を外部の協力機関の保管先などに移し始めた。現場の関係者によると「見る限り消火作業に伴う水ぬれ程度で、焼損は免れている」という。近く、1点ずつ開封して傷みの有無や程度を確かめる。

 2収蔵庫の中の1075点には県指定有形文化財「黒漆菊花鳥虫七宝繋沈金食籠」「黒漆牡丹七宝繋沈金食籠」「白澤之図」の3点のほか、尚家伝来とされる刀剣「青貝巴紋散合口拵」などがある。専門家が国宝級と位置づける美術工芸品も含まれている。

再建の象徴 SNSで話題 焼け残った大龍柱

 全焼した首里城正殿の前で焼け残った大龍柱2体が会員制交流サイト(SNS)などで「奇跡の龍柱」「希望の龍柱」とたたえられ、「再建のシンボル」と期待の声が上がっている。関係者によると、火災でひび割れなどの被害が確認されており、詳しい調査が必要な状態という。

 大龍柱は、正殿正面の石階段の両脇に向き合って立っている。歴史書「球陽」によると、初代は1508年の尚真王の時代に建造。中国・福建省の青石を用いて作られたと言い伝えがある。

 火災や沖縄戦で3度破壊され、現在の大龍柱は4代目。正殿などとともに1992年に復元された。高さ3メートル超の石の彫刻。粒子が細かく密度が高い砂岩「ニービヌフニ」が材料に使われている。龍の造形自体が柱の役割を成しているのは琉球独自の造形文化。

 東日本大震災のあった2011年、岩手県陸前高田市気仙町で津波に耐え、残った1本の松が、復興のシンボルとたたえられた。

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