【宜野湾】嘉数中学校(上里厚校長)の校長室テーブルには5年前から、パンダの縫いぐるみが陣取っている。来客の時も、教員が集まる会議の時も鎮座したまま。1年生は「なんでここにパンダがいるの?」「名前は?」と走り寄り、昼ごろ登校する少しやんちゃな生徒もパンダと目が合えば「ニコッ」とする。近寄りがたいかつての校長室の雰囲気は、もうない。(中部報道部・平島夏実)

嘉数中の上里厚校長(左)と、上座に陣取るパンダの縫いぐるみ=15日、宜野湾市の同中

 パンダは2014年4月、当時の仲田丘(つかさ)校長(現はごろも学習センター所長)が着任と同時に連れてきた。校長室の殺伐とした雰囲気を心配した友人が、クレーンゲーム機でパンダを取って仲田さんに贈ったという。

 仲田さんは「礼節と規律」をモットーに、学校で掃除を徹底し、花をいっぱいにする活動を展開。一方、学校全体がガチガチになってはいけないと校長室にパンダを座らせた。パンダの隣には、高さ約1メートルのフランスパンの縫いぐるみ。棚にはウルトラマンなどのフィギュアを所狭しと並べ、子どもたちとの会話を盛り上げた。

 ことし4月に嘉数中へ赴任した上里厚校長も「校長室にすきをつくりたい」という仲田さんの考えに共鳴。フランスパンを置いていってもらうことはできなかったが、パンダの引き留めには成功した。名前はあえて付けず、子どもたちに聞かれれば「今度考えてきて」と答える。

 上里さんの母校では、校長室といえばお説教の場所だった。生徒にとって校長は、全体朝会で遠くから眺める存在だったと振り返る。今、上里さんは少しでも多くの子どもたちに寄り添おうと各部活の練習や大会に顔を出し、ときには給食を共にする。

 上里さんは「子どもたちが、嘉数中のパンダを思い出すときがきっと来る。だから本年度の卒業アルバムは、ビシっとネクタイを締めてパンダと写ろうかと思うんです」。そう言ってパンダの肩に手を置いた。