首里城火災で、城内の収蔵庫2カ所にあった絵画や漆器などの収蔵品1075点が全焼を免れたと分かった2日、琉球王国時代の美術工芸品に詳しい専門家たちは「王国文化の粋が救われた」と口々に喜んだ。所有者で施設を運営する沖縄美ら島財団の学芸員らは、11時間もの猛火をくぐった品々を丁寧に運び出した。

首里城火災現場のがれきを片づける県警捜査員や消防隊員。同日の作業で2つの収蔵庫が開けられた=2日午後1時20分、那覇市・首里城公園(下地広也撮影)

南殿収蔵庫に保管されていた県指定有形文化財の「白澤之図」(一般財団法人沖縄美ら島財団所蔵)

首里城火災現場のがれきを片づける県警捜査員や消防隊員。同日の作業で2つの収蔵庫が開けられた=2日午後1時20分、那覇市・首里城公園(下地広也撮影) 南殿収蔵庫に保管されていた県指定有形文化財の「白澤之図」(一般財団法人沖縄美ら島財団所蔵)

 財団の所蔵1510点のうち、正殿などの常設展示品421点の焼失が分かったばかり。今回、全焼を免れた1075点の収められていた南殿と寄満の2収蔵庫は耐火性があるとされたが、火勢をテレビや現場で見た人々からは無事かどうか不安の声が漏れていた。

 県立博物館・美術館の田名真之館長(68)は「県指定有形文化財も東京尚家資料も、ほぼ大丈夫だろうと聞いている。あの猛火から少しでも救い出せるとは」と喜んだ。

 二つの収蔵庫を開けた2日午後は、財団の学芸員らが外部機関の建物などに収蔵品を運び出し始めた。まだ木箱やケースに入れたままで、近く1点ずつ状態を確かめる。財団の幹部は「ともかく慎重に安全に。城は焼けたが、少しでも前を向けるように丁寧に扱いたい」と語る。3日も搬出を続けるかは「雨が降らなければ。ここにきて、水にぬれたら困る」。

 財団の所蔵品には、琉球王国が最高の材料で、最高峰の職人に作らせた品々が多く含まれる。

 「王国文化の粋で、美術工芸品の価値として国宝級のものもある」と心配していた那覇市歴史博物館の外間政明学芸員(51)も「良かった。箱入りで運び出しているなら中身はある。(消火の際の)水で多少ぬれたとしても、全て焼失するより、ずっといい」と言葉をかみ締めた。