大弦小弦

[大弦小弦]首里城「計算されたゆがみ」

2019年11月4日 08:27

 首里城の御庭(うなー)は真四角ではない。創建当初は真四角だったが、17~18世紀ごろにずれた。県立博物館・美術館の前館長、安里進さん(72)は「計算されたゆがみ」と表現する

▼「直線は緊張を生む。あえて逃げ道をつくり、緊張を避ける琉球独自の美意識が育った」。城壁も緩やかな弧を描く。角が鋭い本土の城壁とは対照的だ

▼安里さんは龍潭のほとりで生まれ育った。復帰直前、首里城の復元が持ち上がったころは琉球大生で、現場の発掘調査に抗議したことがある。城は搾取の象徴に映った。国事業で完成した時も、派手な朱色を奇異に感じた

▼その後、歴史研究者として25年間復元に関わり、自宅から毎日見るうちに気づいた。琉球の美を美と感じられなかったのは、象徴的な「形」がなかったから。首里城だけでなく感性や文化も戦争に奪われていた

▼今また、失って初めて存在の大きさを知った、と話す人が多い。27年間立ち続けた正殿はその姿で県民の心を支え、県民が思いを投影してアイデンティティーの象徴になった。こう書くと故人の評伝のようだが、それがふさわしいように感じる

▼前回の復元が国中心だったのに対し、今は県民の熱が高まる。安里さんは「最大の変化。再建は急がなくていい。左右も上下もなく、多くの県民が参加できるようにしてほしい」と望む。(阿部岳

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