プロ野球南海やヤクルトなどを率いた野村克也さん(84)は24年の監督生活で歴代5位の1565勝を積み上げた。一方で1563敗と同じくらい負けている

▼著書で「『失敗』と書いて、せいちょう(成長)と読むことにしている」と述べている。勝者はなぜ勝ったかをあまり考えないが敗者は考える。だから負けや失敗から学ぶことの方が多く、失敗した時にその人の価値が決まる。現役時代からの信念だ

▼プロボクシング元世界王者、比嘉大吾選手(24)の出場停止処分がようやく解けた。計量失敗で王座を剥奪されてから1年半。年明けのリング復帰を目指して本格的に始動した

▼桁外れのパンチ力を武器に、21歳で世界王座へと駆け上がった。2度の防衛に成功し、日本新記録の16試合連続KO勝利にも王手をかけた。どん底へと落ちたのは、そんな絶頂のさなか

▼とてつもなく重い1敗を背負った。憔悴(しょうすい)し「辞めるつもりだった」というボクシング。ブランクがあり、体力・技術面、何より一度切れた気持ちをどう立て直していくのか。道のりは厳しいが、迷いながらも自己と向き合い、再出発を切った決断を応援したい

▼世界王者になる前、「比嘉の試合が一番面白いと言われたい」と語っていた姿が浮かぶ。1敗のその先。はい上がり、成長した姿を見せてくれると信じている。(大門雅子)