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首里城火災「消防隊の数も十分。警備員もセオリー通り」と専門家 対応不足は「屋内出火」

2019年11月6日 18:00

[失われた象徴 首里城炎上](5)前代未聞の9消防出動

 「こんなに大規模な消防応援は初めてだ」。那覇市消防局の担当者は強調した。首里城火災で同局は県消防相互応援協定に基づき沖縄市や糸満市など県内8消防本部に応援を要請。車両53台、消防団を含め171人が出動した。協定を結んだ1988年以降、一度に9消防にもまたがった出動は前代未聞だった。

首里城の消火に当たる消防隊=10月31日午前6時11分、那覇市・首里城公園(撮影・新垣玲央)

 しかし火の手は大規模な消防体制をも上回った。高台に作られた「山城(やまじろ)」で、二重に張り巡らされた城壁が消火の壁になった。消火水槽から消火用ホースを引っ張る際、城壁を迂回(うかい)させてホースをつながざるを得なかった。

 その間にも木造の正殿内から上がった火は南殿、北殿に燃え広がった。「ロの字型」の建物に囲まれた御庭(うなー)は輻射熱(ふくしゃねつ)が充満し隊員は退避せざるを得なかった。「延焼が広がった要因の一つ」。火災発生直後の会見で、同局の島袋弘樹局長は報道陣から延焼の要因を問われ、唇をかんだ。

 センサーの発動から警備会社が消防通報するまで7分間。発生翌日の会見で、首里城を管理運営する沖縄美ら島財団の花城良廣理事長は初動について「決して遅くないと思っている」と強調した。

 当時、首里城にいたのは警備員2人と設備の監視員1人。センサー発動後に警備員は正殿北側で充満する煙を確認し、消火器2本で初期消火を試みたが消火はできなかった。消防到着は同発動から16分後だった。

 この対応について防火研究専門の関澤愛東京理科大教授は「消防隊の数も十分。警備員もセオリー通りに動いている」と対応に遅れはなかったと見る。消火器、水の幕を作って延焼を防ぐドレンチャー、放水銃、屋内・屋外消火栓など消火設備も「付けるべきものは付けていた」と評する。

 一方、これらの設備は城の外の市街地火災から城を守るもの。城内である「屋内出火」への対策は乏しかったと指摘する。関澤教授は今後の対策として「人が屋内に入らなくてもいい自動消火設備のスプリンクラーの設置は選択肢に入れるべきだ。加えて、地下通路など消防隊がホースを持って活動できるアクセスを確保する必要がある」と提案した。(社会部・下地由実子、比嘉太一)

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