社説

社説[首里城火災1週間]課題整理し広く議論を

2019年11月7日 12:29

 首里城の大規模火災で正殿など主要7建造物が焼失してから7日で1週間。再建に向けて県内外から、多くの寄付金とともに励ましの声が寄せられている。

 那覇市がふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を活用して集めている寄付が6日夜時点で、3億7千万円を超えた。海外を含め、県内外から2万7千人以上の人が寄付している。

 開設は今月1日。市の想定を上回り、同サイトを運営する会社も「異例のスピード」と驚いている。6日からは英語版も開設した。

 県民を励ます応援メッセージも添えられている。「燃えている首里城を見て泣いていた沖縄の人とテレビを見て泣いた。復興のシンボル。戦争で大きな犠牲になったことを忘れない」「何度、転んでも、また立ち上がる! 強い沖縄を私たちは知っている! 必ずや再建!!」…。

 東日本大震災に続き台風の被害を受けた福島県、震災で熊本城が崩れた同県出身者らからも届いている。

 首里城がみんなの宝として愛されていたことが伝わってくる内容ばかりだ。

 熊本県や那覇市の姉妹都市宮崎県日南市、世界文化遺産でつながりのある自治体も寄付を呼び掛けている。県外や海外の県人会も動いている。

 沖縄タイムス社など県内メディア8社・局も、県民募金の口座を開設した。

 本社には企業からの大口寄付が相次いでいる。喪失感を越え、再建に向けた熱い思いをしっかり受け止めたい。

■    ■

 政府は6日、関係閣僚会議を開き、安倍晋三首相は「沖縄県や地元の意見も伺いながら必要な財源も含め政府として責任をもって全力で取り組む」と表明した。

 沖縄戦で破壊し尽くされ、残された資料がほとんどない中で、専門家らが考証資料の収集に尽力し、「日本復帰」20年の1992年に正殿などが再建された。

 それだけに、早期再建は多くの県民が望むことだろう。しかし、再建に向けて乗り越えるべきハードルは多い。

 資金に加え、大量の木材や赤瓦の調達、高度な技術を持った職人の確保など当時とは異なる事情がある。

 県民が主体となって一つ一つ解決していく。そうできれば再建の過程で、困難に負けない、しなやかな文化力を育むことができるに違いない。

 首里城を巡っては国、県、沖縄美ら島財団の3者が関わるが、責任の範囲と役割分担はどうなっているのか。県民にわかりやすくオープンの場で説明してもらいたい。

■    ■

 県立博物館・美術館の田名真之館長は「音楽も舞踊も泡盛も育んだ場である。大衆のものとなった琉球文化の源であり、沖縄の人の魂だ」と県民のアイデンティティーにつながる存在と的確に言い当てている。

 作家のオーガニックゆうきさんも「どんな首里城を後世に残すかを一人でも多くの人が考えることが首里城の再建の本質的な意義だと思う」と本紙のコラムで書いている。

 そんな気持ちを大切にして再建の議論を進めてほしい。

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