「渋」という字には、平らな土地が浸食されて凹凸ができた地形という意味がある。そこに「谷」が付けば、よほど起伏に富んだ場所ということになろう

▼確かに、東京の渋谷界隈は坂が多い。武蔵野台地を流れる渋谷川と宇田川が谷間を刻む。今は暗渠(あんきょ)(地下水路)を通り、その姿はほとんど見られないが、二つの河川が合流する谷底に位置するのが渋谷駅だ

▼この一帯が栄え始めるのは、徳川家康が江戸に来てから。中心部と郊外を結ぶ要衝の地として開けていく。人口が増えるにつれて農地は市街地へ。拍車を掛けたのが鉄道の開通だった

▼駅は、人の流れをつくり、街を変える。渋谷駅周辺は今、再開発のまっただ中。駅の真上に1日、高さ230メートルの複合施設「渋谷スクランブルスクエア」が開業した

▼開業4日間で訪れた人は33万人。国内最大級の広さという屋上の展望フロアからは、四方遮るものがない都心の絶景が眼下に。くぼ地にそびえるランドマークは、渋谷の魅力を高め、人々を呼び込む

▼沖縄でもモノレールに四つの新駅が誕生して1カ月余り。てだこ浦西駅近くに大型商業施設ができるというニュースもあった。宅地・商業地化が進み、街並みは変遷していくだろう。願わくば、外から来る人にも、地元にも、ウィンウィン(相互利益)になれば、なおいい。(西江昭吾)