重度障がいがあるれいわ新選組の木村英子参院議員と筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦参院議員が国会で初めて質疑に臨んだ。車いすや介助が必要な議員の質問は国会の風景を変えた。多様な声を政策に反映させる大きな一歩だ。

 木村氏は国土交通委員会で、公共施設などの「多機能トイレ」が車いす利用者にとって使いづらくなっている現状を訴えた。

 以前は車いすを利用する障がい者を対象としていたトイレに、乳幼児用のおむつ交換台やオストメイト対応、着替え台などの「多機能」設備が加わったための変化である。一般の利用も増え、待たされたり、混雑したりと、本当に必要とする利用者が使えない状況を指摘した。

 自身が利用するデパートで1階から7階までトイレに入れなかった体験も紹介。「多くの機能をまとめるのではなく、それぞれのニーズに合わせたトイレを複数つくるべきではないか」と迫った。

 バリアフリー法に基づくトイレの設計基準についても、車いすの種類や介助者の有無によって十分なスペースとなっていない現状を挙げ、見直しを要望した。当事者だからこそ分かる切実な指摘は十分な説得力があった。

 舩後氏は文教科学委員会で電子機器を通じて発声、その後代読で質問した。障がいの有無に関係なく学ぶインクルーシブ教育の推進を主張した。

 大学入学共通テストへの導入が見送られた民間英語試験にも触れ、障がいのある学生に配慮した見直しも求めた。

■    ■

 大型車いすが使えるように本会議場の議席改修や福祉車両の導入など国会のバリアフリー化は進んだ。

 一方で、生活全般を支える「重度訪問介護」サービスは、議員活動が収入を得る「経済的活動」とみなされるため、公的補助の対象外となっている。当面は参院が負担するが、障がい者の社会進出を阻む壁として課題は残る。2氏は制度改正を求めており、政府には真摯(しんし)に向き合ってほしい。

 今回の委員会質疑では、秘書による代読や再質問の準備のために、質問時間が減らないよう議事進行を止めるなどの配慮もあった。今後はさらに論戦を深めるために質問時間を増やすなどの検討も必要ではないか。

 障がい者の社会参加を進めるには多様な声があることが重要で、そのためにはまず、すべての障壁を取り除くことだ。

■    ■

 2006年に国連が採択した障害者権利条約は、「私たち抜きで私たちのことを決めないで」をスローガンに、世界中の障がい当事者が起草した。14年に施行した沖縄県の共生社会条例の制定も当事者重視のこうした運動が後押しした。

 重度の障がいがある国会議員は少ない。木村、舩後氏の訴えは、バリアフリー化促進へ大きなインパクトを与えたといえる。

 障がいの有無に関係なく安心して暮らせる共生社会の実現に向け、当事者の声を生かす環境づくりが必要だ。