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熊本城からエール「必ず観光客戻ってくる」 焦る沖縄の観光業「再建もコンテンツ」

2019年11月8日 18:00

[失われた象徴 首里城炎上](7)観光への影響 

 首里城の火災から1週間たっても、正殿への入り口「歓会門」は閉ざされ、観光客は焼けた北殿を遠目に見て次々と引き返していた。例年なら修学旅行客でにぎわう時期だが、人通りはまばら。周辺の飲食店や土産品店からは「再建が長引けばどうなるのか」と不安が漏れる。被害を免れたエリアだけでも早期に開放できないか-。沖縄観光の「象徴」を失った影響を最小限に抑えようと、観光業界も頭を悩ませる。

閉ざされた首里城の「歓会門」を前に引き返す観光客ら=6日、那覇市首里

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 火災のあった10月31日午後、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長は「観光危機として捉えるべきだ」と切迫感をにじませた。年間約280万人が訪れる首里城は沖縄観光の柱の一つ。観光客の減少は地元経済の痛手となりかねない。OCVBは火災翌日に沖縄ツーリズム産業団体協議会を緊急開催。正確な情報発信に努めることや、代替観光コースの積極的な提案などを確認した。

 県内修学旅行の約4割を扱うJTB沖縄の担当者は「修学旅行のキャンセルなどはなく、大幅な観光客減にはつながらないのでは」と見通しを示す。「守礼門や城郭など見どころはほかにもある」「再建も観光コンテンツになる」など、火災の影響がない区域の早期開放を求める意見も会合では相次いだ。

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 2016年4月の地震で大きく損壊した熊本城は、城郭の復元作業を観光に生かす取り組みを始めた。今年10月、大天守閣の外装作業の一部が完了。作業のない休日限定で本丸付近を特別公開している。

 熊本市は熊本城復旧基本計画の柱として、「復旧過程の段階的な公開」を盛り込んだ。熊本城総合事務所の網田龍生所長は「熊本城再建が復興の象徴として熊本観光の呼び水になるという業界や県民の声を取り入れた」と振り返る。

 公開後は、ラグビーW杯の熊本開催も重なり、国内外の観光客らが数多く熊本城を訪れる。大天守閣を見て涙ぐむ人もいるという。

 網田所長は首里城再建について「文化財再建は焦らず、長い歳月をかけてでも多くの人が納得する事業にすることが大前提。公開を急ぐあまり、復元作業に支障が出てはいけない」と指摘。「観光関係者の焦りも十分理解できる。熊本城がそうだったように、再建が少しずつ進む姿を求めて観光客も必ず戻ってくる」とエールを送る。(政経部・仲本大地)

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