路線バスの運転手不足が深刻化しており、沖縄県内バス会社の人事担当者は「若い人が来ない」と口をそろえる。危機感を募らせる各社は、バスの運転に必要な大型2種免許の取得費用を実質的に会社が負担する制度を設けるなど、運転手の育成にも力を入れる。しかし、厳しい労働環境などから、運転手の確保は進んでいないのが現状だ。(政経部・仲村時宇ラ)

沖縄労働局と県バス協会が実施したバス運転手セミナーで、実際に運転を体験する参加者(右)=5月29日、豊見城市内

 特に若年者の新規採用が進まない原因について、県内バス会社の労働組合役員は「第一に賃金の低さがある」と指摘する。「県外の路線バス運転手と比べると基本給で10万円近く違う場合もある」といい、「正直(若い人に)魅力的な職になっていない」とこぼす。

 県内のあるバス会社の組合員を対象にしたアンケートでは、賃金について「大いに不満」とした人が半数以上を占め、「やや不満」を合わせると約8割が賃金に不満があると答えたという。

 2018年の県の賃金構造基本統計調査によると、県内の主要路線バス会社がおおむね該当する100~999人規模の企業の「所定内給与額」(支給された現金給与額から超過労働給与額を引いた額)は、全産業計で24万6500円だったのに対し、運輸・郵便業では22万600円だった。

 また、主にボーナスに当たる「年間賞与その他特別給与額」では、産業計の58万2600円に対し、運輸・郵便業は45万600円と差がある状況だ。

 同役員によると、こうした収入面をカバーするため「長時間残業を希望する運転手もいる」と指摘。繁忙期には「過労死ライン」とされる月80時間を超える場合もあるという。

 また県内の特徴として、片道3時間以上の長距離路線があることや、全国ワーストともいわれる渋滞事情などもあり「運転手の(肉体的、精神的)負担は大きく、厳しい労働環境だ」と明かす。

 一方で「各社はどこも厳しい状況。(経営)体力があってこの賃金なら問題だが、(現状では)会社としても待遇を改善できない」と、各社の努力による改善には限界もあるとした。