沖縄タイムス+プラス ニュース

広がる支援の輪 那覇市 寄付窓口を即決 「理解深める契機」の声

2019年11月11日 18:00

[失われた象徴 首里城炎上]

首里城再建に向けた支援策など議論する参加者=3日、那覇市・JAおきなわ首里城下町支店ホール

 首里城火災が発生した10月31日の午前7時半、那覇市役所で緊急の幹部会議が開かれた。城間幹子市長が、こわばった表情で「気を引き締めて対応を」と呼び掛ける。その8時間半後、市は募金の受け付けを表明した。

 当初、市は「送り先が決まらないことには寄付は集められない」としていた。しかし、県内外から「寄付したいがどうすればいいか」「微力だけど何かしたい」と支援の申し出が殺到し、早期受け付けを決めた。稲福喜久二総務課長(53)は「玉城デニー知事が会見で『必ず復元する』と発言したことも大きい。県も市と同じ方向を向いていると感じた」と明かす。

 翌11月1日からはふるさと納税で寄付を集めるサイトを開設。10日時点で4億5千万円近くに達している。稲福課長は「まさかこんなに支援をいただけるとは。皆さんの思いをしっかり届けたい」と、予想を超える支援の広がりに感謝する。

◇    ◇

 「ぼうぜんとしているが、立ち上がるべきだ」

 3日午後、那覇市内で開かれた「首里城復興支援会」の初会合。地域住民ら約70人を前に、会を立ち上げた高良朝壮(ともあき)さん(42)が悲愴(ひそう)感を漂わせながら訴えた。

 高良さんは9月、首里城祭などに参加する今年の「国王」役に選出された。首里崎山町出身。「首里に育てられた。恩返しがしたかったんです」。そんな矢先だった。

 火災は午前4時すぎ、友人からの電話で知った。崎山町の自宅から飛び出すと、火の手が見えた。現実を受け止められなかった。

 学生時代からよく通った場所。「あの高台に上がるだけでなぜか心地いいんですよ」。県外からの来客には必ず首里城を案内した。焼失して「無意識に自分の魂の一部になっていたんだ」と分かった。

 地元の友人らにも動揺が広がっていた。個々で何かしたいという思いはあっても、どうしていいか分からない。国王役として、地元関係団体や首里以外の支援者とつながる組織を立ち上げる旗振り役となった。

 支援会の会員制交流サイト(SNS)の登録者は600人超。「それぞれに首里城への思いがある。その思いが込められた首里城になってほしい」。会は議論を重ね、できる支援策を検討していく。

 支援の輪は国内外に広がっている。高良さんは「あらためて首里城とはどういう存在なのか、みんなが考え、理解を深めるきっかけにもなる」と思う。失われた象徴の再建へ、前を向く。

 (社会部・伊集竜太郎、比嘉桃乃)=おわり

(写図説明)首里城再建に向けた支援策など議論する参加者=3日、那覇市・JAおきなわ首里城下町支店ホール

前の記事へ 次の記事へ
沖縄関連、今話題です(外部サイト)
JavaScriptをOnにしてください
きょうのお天気