自転車の発明は1813年、ドイツの男爵が作った木製の足蹴り式二輪車だったという

▼発明から200年余り。空気を汚さないので環境にも良く、有酸素運動で健康にも良い自転車は「人間が発明した最高の乗り物」と言われている。子どもから大人まで楽しめるのも魅力の一つだ

▼先日、自転車の祭典「ツール・ド・おきなわ」を取材し、その魅力を改めて実感した。自然豊かなやんばる路を舞台に、レースで自分自身の限界に挑んだアスリート、サイクリングで絆を強めた家族。一輪車や三輪車を含めた28種目に約4500人が出場し、盛り上がった

▼大会には毎年ドラマがある。前大会でレース中に落車し、肋骨(ろっこつ)を8本骨折した後藤健一さん(64)=宮城県=は、きついリハビリを乗り越え、不安と戦いながら市民レース50キロを完走した

▼後藤さんは今回で20回目の出場。東日本大震災では、津波で自宅が被災し、自転車に乗れない時期もあった。ゴール後の「自転車に乗れることが幸せ」との言葉には、苦しい経験があったからこその重みがある

▼物理学者アインシュタインは「人生とは自転車のようなもの。倒れないためには走らなければならない」との名言を残している。上り坂も下り坂も急なカーブも道はいろいろ。自転車も人生も、走り続けることで知る喜びや楽しみがある。(吉川毅)