社説

社説 [桜を見る会中止] 「私物化」の疑惑さらに

2019年11月14日 08:07

 「私物化」との批判が強まる中、政府は来春の「桜を見る会」の中止を発表した。やめたからといって、疑惑が払拭(ふっしょく)されたわけではない。公的行事の公平・公正性が保たれたのか。説明責任を果たすとともに、きちんとした検証を求めたい。

 東京・新宿御苑で開かれた首相主催の桜を見る会の招待者が、第2次安倍政権発足以降、増え続け、費用もふくれあがっている問題である。開催要領に約1万人と明記されているにもかかわらず、今年は約1万8千人が出席。予算は2014年の約3千万円から約5500万円となった。会場では無料で酒や食事が振る舞われ、お土産まで配られる。

 1952年に吉田茂首相が始めたこの会は、各界で「功績・功労」のあった人たちを慰労し親睦を深めるのが目的だ。

 この問題を国会で追及してきた共産党の調査によると、安倍晋三首相の後援会関係者は前夜、東京都内のホテルで850人規模のパーティーを開いており、桜を見る会とセットになっていた。貸し切りバス17台も用意された。

 安倍首相は「各界で功績、功労のあった方々を招いている。地元には自治会やPTAなどの役員をしている方々もいるので後援会と重複することもある」と答弁したが、詳しい説明は避けた。支援者を功労者に仕立て上げるという無理のある説明ではないか。

 同問題は衆院内閣委員会で来週にも質疑される見通しで、実態解明につながる質疑を期待したい。

 公金を使った便宜供与は違法性を問われかねない。あいまいな説明も許されない。

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 国の予算を使う以上、具体的な支出項目と招待者の名前と肩書を公開することは当然だ。ところが首相は、国会で「個人情報」を口実に、具体的な説明を拒んだ。

 内閣府の担当者も、保存期間1年未満の文書として「破棄した」と説明。次回の開催に向けた準備のために必要なはずの文書の「破棄」は、にわかには信じがたい。

 その証拠に、文部科学省と総務省では、招待者の推薦名簿は保存期間が10年で、残っていることが明らかになっている。

 安倍政権下では、陸上自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)問題や「森友文書」の改ざんなど、公文書を巡る不祥事が頻発している。

 横たわるのは都合の悪い公文書はできるだけ公開しないようにという政府の姿勢だ。

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 政治家が自分の金で地元有権者に酒食を振る舞えば、公職選挙法違反となる。

 首相事務所が、正当な資格のない支援者を招待したのであれば、公金を使った「おもてなし」だ。公的行事の私物化が疑われており、道義的責任が問われる。

 安倍首相は今回、自らの判断で中止を決めたと言い、早期の幕引きを図ろうとしているように見えるが、認識があまりに甘すぎる。桜を見る会、その前夜のパーティーがどう運営されたのか。こうした疑問に答えられなければ、首相を続ける資格はない。

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