県立学校(高校、特別支援学校、中学校)教職員の2018年度勤務実態調査で、残業時間が月80時間の「過労死ライン」を超えた人が延べ3078人に達することが分かった。調査対象は県立全84校に勤める約5700人。多くの教職員が過労死ラインを超えて働いている。

 調査は教職員の勤務実態が十分に把握されていない問題を受けて始まったもので、結果が明らかになったのは今回が2度目。他県では小中高校など学校別に勤務実態が異なる状況も判明しており、今後は、県や自治体による県内全小中学校の実態調査の実施や結果公表も求められる。

 県立学校調査で残業が月100時間を超えた人数は延べ1314人。超勤理由では「部活動」が最多の1167人。「授業準備」209人、「事務・報告書作成」169人と続いた。

 調査結果を受けて県は、今年3月「運動部活動等の在り方に関する方針」(ガイドライン)を策定。1週間当たり2日以上の休養日設定や活動時間を平日2時間程度にするほか、中高校では教員の代わりに「部活動指導員」の配置を始めているが、十分とはいえない。

 部活動は教職員の本務ではない。授業のような制度設計がなく、行き過ぎた指導による体罰など課題も多い。ガイドラインの徹底はもちろんのこと、部活動を学校教育とみなすか否かの根本的な議論も急ぐべきだ。

 学校を取り巻く社会のニーズは刻々と変わり、教職員の仕事は増える一方だ。授業準備など本来の仕事も超勤理由に挙がっていることを見れば定員の見直しも必要だ。

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 世界に比べても日本の教員の長時間労働は際立っている。経済協力開発機構(OECD)の調査で日本の小中校教員の1週間当たり仕事時間は2回連続世界最長で、唯一の50時間超だった。

 政府は、教員の勤務時間を年単位で調整する「変形労働時間制」を、自治体の判断で導入できるようにする教職員給与特別措置法改正案を閣議決定し、今議会で審議中だ。新学期など繁忙期の勤務時間を増やす代わり夏休み中に長期休暇を取らせる内容だが、学期中の長時間労働を追認することになりかねず実効性は疑問だ。

 厳しい労働環境の背景には、教員を「聖職」とみなして長年ワークライフバランスを顧みてこなかった学校の風土がある。学校管理職の意識向上など足元からの対策が欠かせない。

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 今調査もPTAの依頼で実施する「早朝講座」や「放課後講座」などは含まれておらず、県立学校の教職員の多忙化を正確に反映しているとは言い難い。

 県内では17年度に病気休職した公立校教員の割合(病休率)が2・8%で11年連続全国ワーストという特殊事情もある。全国平均(0・85%)の3倍超だ。

 教員からは、多忙さから体調不良を訴える声も上がっており、県は全国に比して教員の病休率が高い原因についても分析して欲しい。