県が999万9千人と発表した2018年度の観光客数が、航空会社の報告漏れで1千万人を超えていた。いち早く数値の誤差を突き止めたのは、観光情報を専門に取り扱う「沖縄観光速報社」(那覇市)編集長の渡久地明氏(61)だった。今年9月中旬に発表された航空各社の輸送実績を集計していた際に、前年実績との誤差を発見。県や航空会社への取材を重ね、10月1日付の観光専門紙「観光とけいざい」の1面トップで報じた。観光記者歴35年以上の経験を持つ渡久地氏に、1千万人達成報道の裏側を取材した。(政経部・仲本大地)

観光客数1千万人超を1面トップで報じる、10月1日付「観光とけいざい」(提供)

沖縄観光速報社の渡久地明編集長=15日、那覇市の同社

観光客数1千万人超を1面トップで報じる、10月1日付「観光とけいざい」(提供) 沖縄観光速報社の渡久地明編集長=15日、那覇市の同社

 「観光とけいざい」紙は前身が1973年に創刊。県が発表する観光客数とは別に、全日本空輸(ANA)やJALグループの実績なども路線別に紹介している。

 渡久地氏は今年7、8月のANAの輸送実績を集計した際、資料にある前年同月の実績と、同じ時期に自らが入力したデータを照らし合わせたたところ、約6千人の誤差が出た。

 「今年の資料の実績と、前年の資料の実績が一致しないはずがない」。何度も集計し直した。結果的に2018年のANAの資料に伊丹-石垣線の実績が漏れていたことが分かった。

 誤差をANAと県に問い合わせたところ「報告漏れがあった」と不備を認めたため、「18年度の観光客 1000・4万人だった」の見出しでスクープを報じた。

 「入力作業は20年以上毎月続けている作業で、航空各社の数字に誤差をまれに気がつくことがある。発表をうのみにせず、前年に入力したデータを振り返ったことが良かった」と話した。

 学生時代に群馬大学で電子工学を専攻していた。理系の視点で、20年以上前に、電子量などを予測する外挿法(がいそうほう)を観光統計に応用し、沖縄旅行の需要を予測。1千万人突破は16~17年ごろになると発表していた。01年にあった同時多発テロを受け、予測を再集計し、18年ごろの1千万人突破へと修正。予想を的中させた。

 渡久地氏は「沖縄を訪れる観光客は計算上、2500万人まで伸びるだろう。県などが質の向上を目指すならば、質を示す数字を正確に出すことが重要になる」と提言した。