障がいのある人の沖縄戦体験を聞き取り調査している沖縄国際大学卒業生の上間祥之介さん(24)=南風原町=が16日、足にまひがある中で戦火をくぐり抜けた読谷村の神谷嘉昇さん(90)を訪ねた。先天性の脳性まひがあり、車いすで生活する上間さんは「自分でしか聞けないことを聞き出し、記録の少ない障がい者のことを残していきたい」と話す。(社会部・國吉美香)

沖縄戦時を語る神谷嘉昇さん(右)と、聞き取りにくい言葉を補助して会話を仲介する息子の嘉栄さん=16日、読谷村

聞き取り調査をする上間祥之介さん=16日、読谷村

沖縄戦時を語る神谷嘉昇さん(右)と、聞き取りにくい言葉を補助して会話を仲介する息子の嘉栄さん=16日、読谷村 聞き取り調査をする上間祥之介さん=16日、読谷村

 上間さんが神谷さんを知ったのは5年前。テレビ番組で沖縄戦を語る姿を見たのがきっかけだった。

 身近で戦争を語っていた親戚が亡くなるにつれ沖縄戦に関心を抱くようになり、在学中から障がい者4人の体験を聞き取り、結果をまとめてきた。

 「神谷さんにも絶対に会いたい」と思っていたところ、今年参加した沖縄戦のシンポジウムで読谷村の平和ガイドをする比嘉涼子さんと出会い、調査が実現したという。

 「どういう障がいがあるのか」「逃げる時に障がいで不安がなかったか」「どんな避難生活をしていたのか」。上間さんの問いに、神谷さんが丁寧に答える。

 生後9カ月ほどで左足のまひが分かったが、当時は医者がおらず正確な病名は不明なこと、障がいのことよりも一刻も早く逃げたいという気持ちが強かったこと、馬に乗せられて読谷村から国頭村まで3日ほどかけて家族と避難したこと。

 「二度と戦争はしてほしくない。いつまでも平和でいてほしい。障がい者は逃げられない」とはっきりと語る神谷さん。上間さんが「戦争が起きれば障がい者や弱い立場の人が困る。これは今も神谷さんが伝えたいことでしょうか」と尋ねると、神谷さんは深くうなずいた。

 約1時間半の聞き取りをした上間さんは「戦争のことを話したがらない人も多い中、真っすぐ向き合ってくれた。伝えてくれてありがとうと思った」と話す。メモが取れないため、証言はICレコーダーに記録し、ソフトを使って文字化する。今後、内容を精査して再訪問もするつもりで、聞き取り結果を本にまとめる予定という。「不慣れなところや反省点も多い。でも、今聞き取らないと消えてしまう話を残していきたい」と力を込めた。