【ジョン・ミッチェル特約通信員】米軍嘉手納基地で1992年まで、泡消火剤が嘉手納マリーナなど基地外の海に継続的に流出していたことが分かった。人体への影響が疑われる有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)を含んでいた可能性がある。本紙が米情報公開法に基づいて報告書を入手した。
2010年代に泡消火剤が基地外に流出していたことは本紙報道で明らかになっているが、1992年時点の流出は確認された中で最も古い。
報告書は92年8月付で、基地内の消防訓練施設を5月に調査した結果をまとめた。「施設からあふれた泡消火剤は明らかに海に排出されている」と記述した。「2フィート(約60センチ)の泡の層」が排水溝から流れ出したとの表現もある。施設の設計と訓練手順に問題があると指摘した。
施設は86年に完成しており、以来流出が繰り返されてきたとみられる。いつまで続いていたかは不明。
流出は米空軍の環境基準に違反する。米軍は日本の基準に違反するかどうかも検討したが、報告書は基準の英訳が「古くて不明確」なため分からなかったとしている。
PFASは残留性が強く、代表的なものに毒性が判明しているPFOS(ピーホス)やPFOA(ピーホア)がある。
本紙の取材で、消防訓練施設の近くにある洪水調整用ため池の水から2017年、PFOS最大500ppt(1pptは1兆分の1)、PFOA最大75pptを検出したことが判明している。米環境保護庁(EPA)の生涯健康勧告値は70ppt(PFOSとPFOAの合計)。嘉手納基地外の水源などでも高濃度のPFAS汚染が確認されているが、米軍は因果関係を認めていない。