夏のような強い日差しが照りつけた日曜日、浦添市内の球場が歓声と指笛に包まれた。観客の視線の先には、約4年ぶりにユニホーム姿で現れた元プロ野球選手の清原和博さん

▼2016年に覚せい剤取締法違反で有罪判決を受け、薬物依存症の治療を続ける。高校の後輩で元中日の立浪和義さんに誘われ、子どもたちとの交流試合に出場した。「4番ファースト、清原」とコールされ、湧き起こった拍手にじんと来た

▼甲子園のヒーローでプロでも歴代5位の525本塁打を記録した。なぜ、道を踏み外したのか。事件後、清原さんは心の闇に向き合い、著書「告白」や朝日新聞のインタビューで葛藤を明かした

▼弱みを見せられなかった現役時代。引退して心に穴があき、自己逃避で薬物を使った。感情に波があり「3歩進んで2歩下がる」状況と闘いながら社会復帰を目指している。体験が役立てばと依存症の啓発活動にも参加した

▼違法薬物の乱用事件は後を絶たず、覚醒剤事犯の6割以上が再犯だ。依存症は治療が必要で、苦しんでいる人が悩みを相談し、薬物をやめ続けるには周囲の理解が欠かせない

▼清原さんはイベント後、「沖縄に来て良かった」と繰り返し、声援を心に留めたいと語った。平たんでない回復への道のり。あの指笛が背中を押す一助になればと願う。(大門雅子)