日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)は、韓国側が協定破棄の通告を取り下げない限り、23日午前0時に失効する。

 両国に歩み寄りの気配は感じられない。継続を強く求めてきた日本国内にも「破棄やむなし」の空気が広がりつつある。折り合えない事情が両国に存在し、それが複雑に絡み合っているからだ。

 協定は機密性の高い軍事情報の共有を可能にするもので、日韓は2016年11月、北朝鮮のミサイル開発への対応を主目的にGSOMIAを締結した。

 韓国の破棄決定は、日本政府が輸出管理の優遇対象国から韓国を除外することを決めたのが引き金だ。

 「輸出規制を撤回すれば破棄通告を見直す」という韓国側の申し入れに対し、日本側は「次元が異なる問題」と位置付ける。

 失効で懸念されるのは、1965年の日韓基本条約・請求権協定締結以来、最悪の状態に陥った関係のさらなる悪化だ。

 歴史問題(徴用工判決)に端を発した不信感は、経済問題(輸出規制措置)に飛び火し、安全保障の分野(GSOMIA)にまで広がる。

 これ以上亀裂が深まるのを日本も韓国も望んでいないはずだ。国内の反日感情、嫌韓感情によりかかって強硬路線を貫くだけでは、事態を改善することはできない。

 関係改善こそが東アジアに安定をもたらし、両国の利益にもなる、ということを首脳同士があらためて確認する必要がある。

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 一挙に解決するのは無理かもしれない。しかし解決への道筋を合意することは可能である。

 その前提となるのは何か。韓国側がGSOMIAの維持を何らかの形で明らかにすること。これを受けて日本側が輸出規制措置の撤回に向け協議を開始する意思を示すこと、などが必要だと思われる。

 徴用工問題については、日本企業が保有する韓国内の資産の現金化を当分凍結し、韓国政府による支払いを制度化するような何らかの措置を講じ、日本側はあらためて過去の植民地支配に言及する、という方法もあるのではないか。

 両国が満足するような100点満点の解決策は確かに難しい。だが一方で世代交代や文化・経済交流の深まりによって相互理解に裏づけられた日韓関係が芽生えているのも確かである。この芽を大切にしなければならない。

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 韓国の李洛淵(イナギョン)首相は、先月訪日した際、文在寅(ムンジェイン)大統領からの親書を安倍晋三首相に手渡した。

 対日強硬姿勢が目立った文大統領が、ここにきて対話による解決を模索しているのは間違いない。四面楚歌(そか)に陥りつつあることを感じ始めたのかもしれない。

 日本政府は、改善の兆しを大切にすべきである。日韓双方が相手のことを「誠実な対話相手」として認めるよう歩み寄って、関係改善を図っていくべきだ。

 今こそ外交力を発揮する時である。