那覇市カラスの目撃が相次いでいる。やんばるが主な生息地だったが、南下しているようだ。もともと県内全域に住んでいた。識名園の一角には、ガラサームイ(カラスの森)がある。どうぶつたちの病院沖縄の金城道男副理事長(57)は「沖縄戦で住む場所を奪われた」と指摘する

▼戦火で中南部の森を失い、北部に追いやられた。戦後も復興に伴い、住宅用の木材が大量に必要。「復帰以降、鉄筋住宅の普及で木が育つにつれ、生息範囲を広げたのでは」と推測する

▼那覇市の学芸員、鈴木悠さん(35)は先週、ガラサームイで初めてカラスを見かけた。「ようやく名前通りの場所になりましたね」と感慨深げだ

▼鳥類で群を抜いて賢い。くちばしで水道の栓をひねり、蛇口から水を飲む猛者もいる。都市部では木の代わりに、見晴らしが良いビルの屋上から獲物を探す適応力を見せる

▼超然と俗世を見下ろす姿は、はみ出し者の代弁者でもある。長渕剛さんは〈黒いカラスよ、お前は寂しくはないか/銭だ銭だで/損か得かで/日が暮れていく〉と打算的な社会を嘆いた

▼金城さんは「沖縄には天敵がおらず、ヒトを除く生態系のトップにいる」と指摘する。農作物や家庭ごみを荒らされぬよう、知恵比べになる。仏の遊園地にはカラスにえさを与え、吸い殻を拾うよう訓練したジンブナーもいる。(吉田央)