安倍晋三首相は18日、首相主催の「桜を見る会」前日に開かれた夕食会の費用の明細書に関し「事務所に確認したが、そうしたものはない」と明らかにした。

 夕食会を巡り、安倍事務所や後援会が費用を補填(ほてん)したのではないかという疑惑が浮上している。首相は否定するが、明細書を示さず、どのように証明できるのか。開いた口がふさがらない。野党が「明細がないと永遠に疑問が解けない」と反発するのは当然のことだ。

 首相は官邸で記者団に、出席者数は「約800人」と明かした。これだけの大人数が参加する夕食会で、費用の明細書がないということをどれだけの国民が信用できるだろうか。

 夕食会費については「参加者が直接支払っている。事務所にも後援会にも入金はない」と語り、「(事務所は)領収書の発行を行っていない。ホテル側が発行し、事務所の者が渡した」と強調する。首相後援会は夕食会の会費は参加者から5千円徴収していた。野党は夕食会会場のホテルが最低でも1万1千円と回答しているとし、「差額をどうしたのか」と追及している。

 夕食会費は首相の政治資金収支報告書に記載はない。仮に実際の経費との差額を補填していたら公職選挙法違反の疑いも出てくる。

 夕食会を巡る首相側の関与の度合いが焦点だ。やましいことがなければ、野党の要求に応じ、衆参両院予算委員会の集中審議で自ら説明責任を果たすべきだ。

 来年度の開催中止だけで、幕引きは許されない。

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 首相の在任期間が20日、第1次内閣を含めた通算で2887日となり、戦前の桂太郎氏を抜いて憲政史上歴代1位になった。民主党から政権を奪還した第2次内閣は経済最優先を掲げ、6度の国政選挙で勝利した。与野党内に有力な対抗勢力が見当たらない「安倍1強」という体制を築いた。

 一方で、国有地を不当に値引きしたとされる森友学園問題は文書改ざん・破棄が明らかになった。加計学園問題では獣医学部新設を巡り、首相の親友が理事長を務める学校法人が優遇されたという疑惑も指摘される。

 公金を費やした公の行事に地元支持者を大量に招いた桜を見る会の問題は、首相の「お友達体質」を如実に示し、長期政権の弊害を露呈している。

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 政府は桜を見る会の招待者名簿を開催翌月に速やかに廃棄したという。公文書のあり方が問われ、官邸への官僚の忖度(そんたく)という疑念が消えない。

 森友・加計問題などでも、首相は追及に真摯(しんし)に向き合わず、まともに説明しているとは言えない。予算委員会など国会の論戦を避け、ほとぼりが冷めるのを待つのが常とう手段だ。

 野党は首相への集中審議のほか、安倍事務所の会計責任者とホテルの担当者を参考人招致するよう求めた。与党は拒否しているが、疑惑解明のため受け入れるべきだ。国会の行政監視機能が問われている。